- ハイパワーガス・ノーマルガスについて
- ハイパワーガス・ノーマルガスの違いについて
- ノーマルガス・ハイパワーガスの性能の違いは!?
- ガス缶の切り替え時期の目安とメリット・保温カバーについて
- ガス缶の保管期限と使用上の注意について
- まとめ
ハイパワーガス・ノーマルガスについて
だいぶ寒くなってきましたが、山で作る熱々の山飯って本当に美味しいですよね!
冷えた体に染み渡る旨さになりますが、そんな調理に活躍するのがガスバーナーですよね!
ガスバーナーは、手軽に調理ができる反面、燃料であるガスボンベが必要になりますが、性能や種類の詳細については、よく分かっていない方が多いと思います。
特に理解しないまま使いがちなのが「ノーマルガス」と「ハイパワーガス」かなと思います。
ノーマルガスとハイパワーガスの違いを理解しないまま、なんとなく名前の響き(力強さ)から「ハイパワーガス」のみ使っている登山愛好家、アウトドア愛好家も多いと思います。
何故、ガス缶の種類が分かれているかを理解出来れば、余計な出費を抑えることが出来たりと大きなメリットがあったりします。
特にハイパワーガスは、ノーマルガスよりも値段が数百円高く、塵も積もれば山となる典型的な出費になりますよね。
今回は、登山やアウトドアでよく使っている割には無頓着になりやすいハイパワーガスとノーマルガスの違いや性能、意外と知らない保管期限などを絡めながら掘り下げてみたいと思います!
ハイパワーガス・ノーマルガスの違いについて
こちらは、現在登山やアウトドア、家庭で使用しているガス缶になります。
形や大きさ、デザインなど違いがありますが、まず初めにハイパワーガス・ノーマルガスの違いについて触れたいと思います!
まずは大きな違いとしてあるのが、ガスに含まれている成分になります。
そして、一番わかりやすいのがお値段の違いになりますよね。
値段が安いか高いかによって、性能面や安全面(耐久性)に違いがあるのかな?と思ってしまいますね!?
これに関しましては、爆発する恐れがあるガス缶ですので、国内で流通している商品については、値段によって安全面が疎かになっていることはないので大丈夫です!
時々ガス缶による火事や破裂の事故が報道されますが、多くは商品の問題ではなく使い方によるものです。
正しくハイパワーガス・ノーマルガスを理解して使えば、特に怖いことはありません!
そしてガスに含まれている成分の違いによって値段や性能も変わってきます。
こちらはイワタニプリムスのノーマルガスになるのですが、使用されているガスの原材料はLPG(液化ブタンガス)になります。
ガスについては臭いがないので、ガス漏れなどの安全を考慮して、敢えて臭いを付けて(着臭)販売してあったりします。
ガスが充満すると「ガス臭い」と感じることがあると思いますが、あれは着臭した臭いになりますので、本来のものではありません。
私の靴下の臭いも、汗と油と加齢臭で着臭したものですので、本来の私の臭いではないことを、ここに強く宣言したいと思います!!(笑)
え~・・・そしてこちらがキャプテンスタッグのノーマルガスに使われているガスの原材料になるのですが、イワタニプリムスと同様にLPG(液化ブタン)が使われております。
そしてこちらが家庭でよく使われているカセットコンロの燃料となるガス缶になりますが、使われている原材料は、同じくLPG(液化ブタン)になります。
製造メーカーや、形状が違うガス缶になるものの、ノーマルガスと言われている物は、使われている原材料が全てLPG(液化ブタン)で同じであることが、これで分かるかと思います。
一方、ハイパワーガスについてはどうなのか気になりますよね!?
こちらがイワタニプリムスのハイパワーガスに使われてる原材料になるのですが、「液化ブタン」と「プロパン」の2種類が混合されております。
ここで見慣れない「プロパン」が登場しましたが、この違いがハイパワーガス・ノーマルガスの性能や値段に影響しております。
ノーマルガス・ハイパワーガスの性能の違いは!?
上述しました通り、ノーマルガスとハイパワーガスの違いは、使われている原材料に「プロパンが含まれているかいないか」になります。
実は、このプロパンはガスの沸点を調整するために使用されておりまして、大きな性能の違いとは呼べない代物になります。
では、何が違うのか?になりますが、性能に関係するのは液化ブタンの質になります。
商品の表示は「液化ブタン」になっておりますが、それをさらに細かく見ると「ノルマルブタン」と「イソブタン」に分けることが出来ます。
ノーマルガスについては「ノルマルブタン」、ハイパワーガスについては「イソブタン」が使われてまして、それによりガス缶の性能が変わってきます。
ガス缶の性能にとって重要なのは、ガスが出る温度(沸点)になるのですが、値段の安いノーマルガスに使われているノルマルブタンは、最低使用温度(可燃性ガスが出るギリギリの温度)が約-0.5度に対し、値段が高いハイパワーガスに使われているイソブタンは約-12度と、10倍以上の差があったりします。
この事により、ノルマルブタン(ノーマルガス)は、寒い所だとガスが出ないので燃焼せず使えないことを意味しております。
また、ガスの蒸気圧が高いほど多くのガスが供給されるのですが、そちらにつきましても高価なガスであるイソブタンを含んでいるハイパワーガスの方が高くなっておりまして、性能の違いになっております。
ガスが出る温度が-12度と寒い環境でも使えますし、蒸気圧の違いについても考慮しますと、ハイパワーガスが寒冷地仕様のガス缶であることがお分かりになるかと思います!
ノーマルガスとハイパワーの性能の違いについて纏めますと、こんな感じになります!
- ノーマルガス 蒸気圧が低く安価なノルマルブタンが原料で沸点は-0.5度前後
- ハイパワーガス 蒸気圧が高く高価なイソブタン・プロパンガスが使われ沸点は-12度前後
この性能の違いを頭の片隅に入れながら登山やアウトドアで使用する時に、ノーマルガス・ハイパワーガスのどちらを持っていくべきかを判断いたします。
登山やアウトドア初心者でやりがちなのが「値段が高いハイパワーガスを一年間使えば問題ないだろう」だと思いますが、この考えは間違いです!
続きましては、ハイパワーガス、ノーマルガス缶の適切な切り替え時期の目安と使い分けのメリットについて書いてみたいと思います!
ガス缶の切り替え時期の目安とメリット・保温カバーについて
ノーマルガスとハイパワーガスは、使われているガスの原材料が違うことにより、使える温度も異なっており、使用する環境を考えてガス缶を切り替えないといけません。
また、蒸気圧が違うことにより、ガスが出る量にも違いがありますので、この辺をよく理解したうえで適切な時期にノーマルガスからハイパワーガスへ切り替えるとで大きなメリットを享受することが出来ます。
特にガス缶の蒸気圧の違いが貧乏登山者、貧乏キャンパーの懐に直撃いたします。
何を言いたいかと申しますと、蒸気圧が高いと、それだけガスの出る量が増えますので、簡単に書きますと燃費が悪いことを意味しております。
一方、蒸気圧が低ければ、それだけガス缶から噴出する量が少ないので、1缶辺りの燃費が向上します。
また、燃料エネルギー(水を沸かす力)は、ノーマルガス・ハイパワーガス共に同じになります。
もう少し砕いて書きますと、ガスの消費量によって火力は強弱されるものの、同じガスの量なら、物を熱する力が一緒であるという事です。
この事から、ハイパワーガスは寒さに強い分、燃費が悪るくなる一方、ノーマルガスは寒さに弱いものの、燃費が良く適切に切り替えればガスの使用量を抑えることが出来ます!
ですので、気温が高い時期に値段の高いハイパワーガスを使うのは、ガスの無駄遣いであるといえます。
簡単に書けば、「無駄にハイスペック品(ハイパワーガス)を使っている状態」になります。
お金に余裕があるならば、一年中ハイパワーガスを使い続けても良いと思いますが、ガスの経費を抑えたい方は、ノーマルガスが使えるギリギリの時期まで使い倒し、寒い時期限定でハイパワーガスに切り替えて使う方が価格メリットがある感じです。
また、小屋泊、テント泊で長期縦走する場合、ガス缶の消費を少しでも抑えたいと考えるのが普通ですよね!?
上述したとおり、ノーマルガスの方が燃費が良いので、ガス缶を途中で補給できない環境ならば、迷わずハイパワーガスは使わない選択になると思います。
しかしながら、火が点かず使えなければ意味がないので、ノーマルガスからハイパワーガスへ切り替える時期のタイミングが難しいですよね!?
私見になりますが、ここからはハイパワーガスへの切り替え時期の目安について書いてみたいと思います!
まず、価格の安いノーマルガスの沸点は-0.5℃、ハイパワーガスが-12℃になります。
ノーマルガスは、蒸気圧が低いので、元々ガスの出る量が少なく、気温が下がればさらに低下してしまいます。
ですので、シングルガスバーナー等でガス缶を使用する場合、使う地点の標高も気にしなければなりません。
標高と気温の関係は、1,000m標高が上がれば気温が6度下がります。
下界の温度が6度の場合、標高1、000m地点の気温は0度になります。
厳冬期に標高3,000m以上の山へ登る方は少ないので割愛いたしますが、2,000m以下の登山でガス缶を使用する場合の目安の1つは、平地の気温が10度くらいなら、ノーマルガスを使用しても大丈夫です。
ノーマルガス缶の沸点は、-0.5℃になりますので、ギリギリアウトな気温にはなりますが、今までの経験で火が点かなかったことはございません。
ガスの出が悪い場合は、ガス缶を自分のウェア内に入れて5分前後体温で温めれば使えるようになります。
一度ガスバーナーに火が点けば、その熱で燃焼が進みやすくなりますので、着火させれるかどうかがキモになります。
しかしながら、安全を見るならば、使用環境の気温が5度以下になることが予想される場合は、ハイパワーガスに切り替えた方が良いかと思います。
また、ガス缶の保温カバーを使えば、ノーマルガスが使える時期を延ばすことが出来ます。
少しお高いですが、こちらはウール製のガス缶保温カバーになりまして、おすすめ商品でござます!
ご存じの方も多いと思いますが、ウールは難燃性がありまして燃えにくい素材になります。
また、保温力も高く、消臭力もありますので、登山やアウトドアでの使用に持って来いだと思います!
また、色とりどりのガス缶の保温カバーも販売されてますので、自分の好みに応じて揃えてみても良いかもしれません!
ザックの中に堅いガス缶を収納すると、どうしても中で荷物が動いた時に傷つけてしまうことがありますよね。
保温力もあり、クッション性にも優れておりますので、他のアイテムを守るうえでもガス缶保温カバーは有効だと思います!
ガス缶の切り替え時期の目安について纏めますと、季節で考えるのではなく、使う環境の気温で判断すべきであり、燃費を考えるとガス缶保温カバーを駆使してノーマルガスを使った方がお得である!になります。
また、ザックのパッキング時に、自分の背中付近にガス缶が来るようにすれば、体温が届いて冷え難くなるのでおすすめです!
ガス缶の保管期限と使用上の注意について
ガス缶切り替え時期の目安に続きまして、ガス缶の保管期限と使用上の注意について触れたいと思います。
まずは使用上の注意ですが、ガス缶を40度以上の所に保管はしてはいけません。
ガス缶の本体にも記載されてますが、40度以上の場所で保管しますと爆発する恐れがあります。
気温が下がるとガスの出が悪くなり燃焼しないと上述してますが、だからといって暖め過ぎるのは厳禁になります。
また、ガス缶の方に気を取られてしまいますが、シングルガスバーナーのような火器につきましても、安全に使うために注意すべき点があります。
こちらは、登山やアウトドアで愛用しております、プリムスP-153シングルバーナーになります。
このシングルバーナーにガス缶をセットして使うのですが、ここでガス漏れを防ぐうえで重要なのがパッキン(O-リング)になります。
シングルガスバーナーとガス缶を繋ぐ所にパッキン(O-リング)が装着されているのですが、見えますでしょうか?
黒い円状の物がシングルガスバーナーのパッキン(O-リング)になりまして、ゴム製で消耗品の扱いになっております。
このガスバーナのパッキン(O-リング)は、ゴム製のため劣化してしまい、寿命につきましては3年位といわれております。
ゴムは気温変化や湿度、水に弱いので、特に雪山登山を行う方は、パッキンの劣化がさらに早くなってしまいます。
シングルガスバーナーおすすめと比較メンテナンス!分解整備のやり方!
シングルガスバーナーのメンテナンスについては、こちらの記事で詳しく書いてますので、ガス缶を安全に使うためにもチェックしてみてください!
また、ガス缶本体の保管期限は7年位であると言われております。
ガス自体は問題ないものの、容器の耐久性の方に問題が出てきますので、ガス缶本体としては7年以上前の物を使用するのは止めた方が良いかと思います!
特にガス缶本体に傷や錆などの腐食が見られる場合は、使用しないようにしてください。
ガス詰め替えアダプターなども発売されておりますので、ガスの保管期限が迫ってきた場合は、ガスを別の容器に移し替えてしまうのも手かと思います!
まとめ
ガス缶の切り替え時期について悩んでいる方も多いと思いますが、気温とコストを考えながら使用することが重要です。
全然寒くないのに値段が高く燃費の悪いハイパワーガスを使うメリットは全くないですよね!
私の場合は、コストの安いノーマルガスをメインに使いつつ、気温が0度くらいなら「ガス缶を体温で温める」ことを念頭にハイパワーガスを選ばなかったりします。
チョットした工夫でノーマルガスを使い倒した方が、登山の経費を圧縮することが出来ますので、感覚や経験だけに頼らず、化学的な知識を駆使することも大切ですよね!
ガス缶の切り替え時期の目安は季節ではなく使う場所の気温である!を、頭の片隅に入れて登山やアウトドアを楽しんでいただけたらなと思います!
登山用ガス缶の切り替え温度の詳細について書いた記事になります!
ハイパワーガスのメリット・デメリットについて触れてますので、よかったら参考にしてみてください!
ガス缶の原価について書いた記事になります!
少し古い内容ですが、ガス缶の値段が高い理由が分かるかと思いますので、おすすめです!