登山を趣味にしている方なら「ジャンダルム」という名前を聞いたことがあるかと思います。
初めて「ジャンダルム」という単語を聞いた時は「ベルサイユのばらに出てくる悪役か!?」、それとも「フランスの勝利(革命)に貢献した女性戦士かつ聖人(ジャンヌダルク)の仲間か!?」と思ってしまいました。
どちらも不正解になるのですが、今回は奥穂高岳から西穂高岳への難ルート上に鎮座するジャンダルムへの登山について解説したいと思います!
- ジャンダルムへ登山した経緯と名前の意味、山頂の天使について
- ジャンダルム登山!馬の背の登山ルートと難易度の詳細!
- ジャンダルム登山!ロバの耳の登山ルート詳細!
- ジャンダルム登山!天使への登山ルートと難易度の詳細
- ジャンダルムから奥穂高岳への登山と登山コースの詳細
- ジャンダルム、奥穂高岳からの下山の様子について
- ジャンダルム登山!天使への登山ルート・標高差・コースタイム詳細
- まとめ
ジャンダルムへ登山した経緯と名前の意味、山頂の天使について
涸沢ヒュッテでマッタリしながらテント泊を楽しむ計画をしていたのですが、徐々に計画がモリモリになったものの、当初、ジャンダルムへ行く予定はありませんでした(笑)
奥穂高岳の登頂の喜びにテンションマックスになってしまい、その勢いで「ジャンダルムへ行っちゃう!?」ってな軽いノリで登ることになりました。
「軽いノリ」とは言いつつ、無理そうなら引き返そう!ってなことで馬の背へ向かったのですが、結論から先に書くと無事にジャンダルムへ登ることが出来ました。
そもそも「ジャンダルム」っていう名前の意味ってなんざんす!?っと思っている方も多いと思いますが、元々の由来はスイスに横たわるアルプス山脈の名峰アイガーにある垂直の絶壁(150~300m前後ある)になります。
日本では、昭和に入ってから奥穂高岳の前衛峰として「ジャンダルム」と呼ばれるようになったのですが、その前までは「名無し」だったのではないかと思われます。
妄想になりますが、もしかすると「ジャンダルムの頭」とか呼ばれていたかもしれません(笑)
え~・・・「前衛峰」と聞くと「衛兵(近衛兵)」を連想してしまいますが、西穂高岳、奥穂高岳の尾根上の関所のような役割をしているのが今回登ったジャンダルムになります。
そんなジャンダルムの標高は3,163mありまして、かなり高い山になります。
標高が高いと空気が薄くなりますので、体力の消耗が激しくなりますが、そこに緊張感が続く難路がモリモリですので、集中力をいかに切らさず進めるかが登頂のカギになるかな~っと思ってしまいました。
また、ジャンダルムの山頂には「天使」が君臨しているので、そちらを見るのも楽しみの1つにしておりました。
そんな感じで今回は、ジャンダルムへの登山と頂上の天使について書いていきたいと思います!
まずは前回歩いた涸沢ヒュッテから奥穂高岳までの登山について書いた記事がこちらになります。
涸沢ヒュッテからパノラマコース、ザイテングラートを経て奥穂高岳へ登山した時の様子になります!
そしてこちらがジャンダルム、奥穂高岳へ登山中に撮影した登山動画になります!
上記写真を押すと、YouTubeで動画を観ることが出来ますので、ジャンダルム、奥穂高岳周辺の登山ルートの様子と美しい景色を堪能していただけたらと思います!
ジャンダルム登山!馬の背の登山ルートと難易度の詳細!
奥穂高岳への登頂の喜びも束の間、次の獲物を前穂高岳にするかジャンダルムにするかで少し迷ってしまいました。
当初の計画では、奥穂高岳から吊り尾根で前穂高岳ピストンだったのですが、どうせ行くならジャンダルムでしょう!っとなりました(笑)
そんな感じでジャンダルムからの風を肩で切り裂く特攻体調のナミちゃんが馬の背を目指して突撃を開始しました!
ジャンダルムへの登山ルートのシンボルと言っても良い「滑落すると死ぬからも知れないから十分注意してね♡」っと書かれた警告板になります。
警告板にも書かれてますが、ここからジャンダルムへの登山ルートは、一般登山道ではありませんので、本当に死ぬかもしれないという覚悟が必要になります。
警告板からチラチラとジャンダルムが見えてますね~~
右の男性は西穂高岳方面ジャンダルムを経由して奥穂高岳に到着した方でした。
安堵の表情が印象的でした。
徐々に難易度の高い馬の背に近づてきました。
それにしてもジャンダルムの存在感が凄いですよね・・・。
無事に山頂の天使に逢えるでしょうか・・・。
ジャンダルムに登頂している登山者が見えてますね!
きっと、今頃山頂の天使とイチャイチャしているんでしょうね!!
そしてジャンダルムの左隣が難所のロバの耳になります。
いや~どこもかしこも滑落の危険がモリモリで尻の奥で隠れている「菊の御門」が締まりっぱなしになりました・・・。
馬の背の核心部の手前もかなり難所になってまして、両側が切れ落ちているので滑落すると「さようなら~~」になってしまいます。
マエちゃんのリードに付いて行くナミちゃんになります!
左側がガスで見えなくて高度感がないものの、非常に歩き難いので滑落要注意箇所になります。
本当に危ない所は写真が撮れず・・・な感じで無事に馬の背を攻略できました!
残念ながらナミちゃんは、この馬の背の核心部の斜面を下りるの諦め奥穂高岳に戻ることになりました。
自分の技量を見極めて素直に撤退できて素晴らしいな~っと思ってしまいました。
馬の背の天辺で手を振るナミちゃんの声援を背に受けて難所のロバの耳に進みたいと思います!
こちらが馬の背の全景になるのですが、中央右上の岩峰の上に立っているのがナミちゃんになりまして、あそこからここまで下らなけれなりません。
岩盤が脆く、鎖や梯子が設置できないので、自力で下らなければなりません。
特に馬の背の中央付近は、足の置き場に困る所がありまして、両側が切れ落ちたナイフリッジ状な事もあって非常に高度感があります。
奥穂高岳からジャンダルム登山において、馬の背の下りが一番難易度が高い登山ルートになると思います。
ジャンダルム登山!ロバの耳の登山ルート詳細!
難易度の高い馬の背を攻略すると、更に不気味な輝きを放っていたジャンダルムとロバの耳になります。
あのモザイクの先に天使が待っていると思うと頑張れそうな予感がしてきました♡
え~~・・・どこを登るんだ!?っと、必死にルートを探してしまった瞬間です。
これが難易度の高いロバの耳なのね~っと絶句してしまいました。
どっから登ろうか・・・っと同じ悩みを抱えていたマエちゃんになります(笑)
さ~ジャンダルムの天使を目指してロバの耳を登りたいと思います!
ジャンダルムの前衛峰と呼んでもよいロバの耳になります。
ルートがよく分からんですが、「バニーガール」の耳にはいつもお世話になっているので、ロバの耳も大丈夫だと思いたい!っとよく分からないテンションになってしまいました(笑)
ロバの耳に近づくと、鎖が付いてる所があるものの、基本、補助になる物はありませんでした。
いや~ここで滑落すると200m位は止まらないでしょうね~・・・。
も~~勘弁してくれよ~~っと背中で語っていたマエちゃんでした(笑)
その気持ち、痛いほどよく分かります♡
ルートファインディングがとても重要だったロバの耳の登山ルートになります。
どうでも良い所に鎖があり、欲しい所には設置されていないというドSなロバの耳でした!
日頃から岩稜歩きしていないとジャンダルムの登山はかなり難しいと思います。
ロバの耳を2/3ほど登ると巻き道になります。
ここも滑落すると止まらないと思います。
巻き道ルートを進むと、今度は本格的な岩場登りになります。
手掛かり足掛かりが多いので見た目ほど難しくはないのですが、それでも高度感があるのでかなり怖いと思います。
ロバの耳を登りきると、目の前にジャンダルムのお姿が開けてきます!
近いのに中々近づきません・・・。
ジャンダルム登山!天使への登山ルートと難易度の詳細
ロバの耳からジャンダルムへの登山ルートは、ここで一気に下ります!
苦悶のマエちゃんの顔がジャンダルムへの登山の大変さを物語っていますよね!!
ロバの耳から下ろうとすると、ガスが晴れてジャンダルムのお姿が見えてきました!
少し待つと青空が復活してきました!
ジャンダルムの天使がほほ笑んでいるみたいですよネ~
昔から天使には好かれているので、その影響かな!?(笑)
「エ~・・・イマハジョウダンイッテイルバアイハゴザイマセン」っとマエちゃんが叫んでいました(笑)
いやいや「西本」ではなく「ジャンダルム」に行きたいのです!っと思ってしまった瞬間です(笑)
ロバの耳とジャンダルムのコルからは更に道が悪く、難易度が急上昇してきました・・・。
流石にも~慣れてきましたね。
「西本」が訂正されて「ジャン」と登山ルートの表記がされておりました!
思わずマエちゃんも納得の笑顔を見せてくれました(笑)
ジャンダルムを巻きながら西穂高岳方面に進むと登りやすい登山道が見えてきました!
落石に注意しながら登るとそこはジャンダルムの山頂でした!
無事にジャンダルムへ登頂出来て最高の時間になりました!!
こちらがジャンダルムの天使と本格的なオジサン(マエちゃん)になります!
この天使を見たくてジャンダルムに訪れる登山者が多い感じです。
ところが、設置されていたジャンダルムの天使を谷底に落としてしまった登山者がいまして、暫く不在にしてました。
2024年9月に3代目が設置され今に至っております。
現在、ジャンダルムの頂上には天使が2体あるのですが、元々は剱岳の近くで営業している小屋の方が作成したものになります。
難所が続くジャンダルムになりますので、「天使のご加護があらん事を」の願い込めて設置したそうです。
ちなみに天使の材質はチタンではなくステンレス製になるので、結構重みがあったりします。
落ちないように立派な鎖が付いていたのが印象的でした。
ジャンダルムから奥穂高岳への登山と登山コースの詳細
ジャンダルムの登頂と天使に逢えたところで、来た道を戻って奥穂高岳の山頂を目指したいと思います。
一度歩いた登山コースながら、登りと下りが逆になるので、これはこれで難しかったりします。
ジャンダルムの巻き道ルートと直登ルートの分岐になります。
正直、直登ルートの方が難易度が高く俄然難しいのですが、それでも見た感じ何とかなりそうだな~っと感じました。
そしてやっかいなロバの耳に戻ってきました。
あと5cm身長と脚が長ければ楽なルートなのですが、胴長短足な私には辛い登山の時間になりました・・・。
ロバの耳の下りは高度感がモッコリでコース取りが難しい感じでした。
落石も起きやすいので、ある程度距離をとって歩く必要もあります。
そして大苦戦した馬の背を登るマエちゃんになります。
馬の背を下る場合、この高度感と闘わないといけません・・・。
この辺は動画でも撮っているので、良かったらジャンダルムへの登山の参考になれば幸いです!
馬の背の核心部を攻略すると、目指す奥穂高岳の山頂が見えてきました!
ここまで来れば安息の地は近いです!
ジャンダルム、奥穂高岳からの下山の様子について
奥穂高岳に戻ったものの山頂が混んでいたのでそのまま下山することにしました。
モリモリ下って行くと穂高岳山荘が見えてきました!
穂高岳山荘への下りのルートも高度感があって非常に怖いです!!
ただ、ジャンダルムを経験すると、これくらい何とも思わなくなるのが怖い所です。
奥穂高岳の難所ルートであります岩場と梯子になります。
雨で濡れると非常に滑るので滑落に要注意です。
この辺でよく滑落して遭難騒ぎが起きております。
いつの間にか奥穂高岳山荘のテント場が埋まってました!
ここまでテント担ぐのも大変ですよね~・・・。
ジャンダルムの登頂の高揚感を抱いたまま寝床である涸沢ヒュッテのテント場を目指したいと思います!
ザイテングラードの下りルートも地味に危ない所が多くあります。
奥穂高岳方面を振り返ると怪しいガスが立ち込めてきまして・・・。
この時はまさか雨が降るとは思わず・・・。
涸沢小屋周辺の紅葉の様子になります!
ジャンダルム、奥穂高岳への登山は、最後まで楽しませてくれます!
涸沢小屋の手前で大雨になりまして、小屋のご厚意で売店(食堂)の中に入れてもらえました。
いや~助かりました。
涸沢小屋の皆様、本当にありがとうございました!!
感謝をこめて涸沢小屋の料金表になります(笑)
皆様、良い山小屋なのでモリモリお金落としてくださいね♡
雨と言うよりは霰、雹が降った感じです。
これですと、ジャンダルム、奥穂高岳の山頂は雪になっているかもしれませんね~
そんな感じで無事にジャンダルムから下山出来て達成感と恐怖感が入り混じる不思議な感覚になりました。
暫くジャンダルムへの登山は遠慮したいな~っと思いつつ、念願だった天使に逢えて本当に良かったです!
そんな感じで今回のジャンダルム、奥穂高岳への登山の詳細に移りたいと思います。
ジャンダルム登山!天使への登山ルート・標高差・コースタイム詳細
こちらが今回登山をしたジャンダルム登山のルートと標高差の地図になります。
登山をした日は、10月12日なりまして、奥穂高岳に到着すると、風が冷たく長袖でないと体が冷えてしまう状況でした。
ジャンダルムへの登山ルートは、安心して休憩できるところが少ないので、この時期挑戦する際は、奥穂高岳の山頂で少し厚着をして体が冷えないような対策が必要と思います。
また、標高差の地図の通り、奥穂高岳からジャンダルムは(24km付近、結構激しいアップダウンが連続しますので、距離以上に体力、筋力を削り取ってきますので注意が必要です。
やはり、奥穂高岳の山頂で残された体力、筋力を適切に判断することが、滑落、遭難から身を守るうえでも重要だと思います。
そしてこちらが今回登山をした奥穂高岳からジャンダルムへ登山した時のコースタイムになります!
奥穂高岳 10:23 → 10:31 馬の背 10:38 → 10:50 ロバの耳 10:53 → 11:17 ジャンダルム 11:21 → 12:04 穂高岳 12:21 → 12:55 穂高岳山荘 13:25 → 14:02 涸沢小屋(雨宿り) 16:11 → 16:14 涸沢
奥穂高岳の山頂からジャンダルムの山頂までのコースタイムが約1時間ほどでした。
ジャンダルムから奥穂高岳へ戻る際のコースタイムも30分ほどでしたので、逆ルート(西穂高岳方面)からのほうがだいぶ楽だな~っと感じました。
特に楽だったのが「馬の背」になりまして、ジャンダルムから奥穂高岳を目指す場合は登りになるため、サクサク進むことが出来ました。
岩稜に慣れていない場合は、馬の背の高度感との戦いに時間と気力を消耗してしまうと思われますので、西穂高岳方面からジャンダルム、奥穂高岳を目指すほうが難易度的にも楽だと思います。
なお、涸沢小屋の手前で大雨になりまして、非常に危ないところでした。
もし、あの雨量に晒されながらジャンダルム周辺を歩いていたらと思うとゾッとしてしまいます。
まとめ
初めて登るジャンダルムでしたが、2つの天使がお出迎えしてくれて、念願叶ったな~っと達成感がモリモリになってしまいました!
ただ、馬の背を再度歩くのは嫌だな~っと思いながらのジャンダルムの山頂での時間になったのですが、帰りは登りになるのでサクサク攻略することが出来たのが良かった感じです!
奥穂高岳~ジャンダルム~西穂高岳への縦走は、一般登山道(破線ルート)の中では、3本の指に入るほど難度の高い登山ルートになりますが、今回登頂できたこともありまして、残りの区間も歩けそうだな~っと感じました。
次回、ジャンダルムへ登る際は、西穂高岳から入山しようと強く思っているのですが、滑落注意箇所が多いので、気を引き締めて再訪したいな~っと考えております!
そんな感じで次回は、涸沢ヒュッテから北穂高岳のバリエーションルートである「ゴジラの背(東稜)」から北穂高岳への登山について書いた行きたいと思います!
涸沢ヒュッテからゴジラの背(北穂高岳東稜)を使って北穂高岳屁登山した続きの記事になります!
北穂高小屋の売店や食事のメニューと料金、テント場についても触れてますので、良かったら参考にしてみてください!