ナイトハイクで関東の丹沢山へ登山と魅力について
先日、地元の関東に鎮座する丹沢山でナイトハイクをしてきました。
ナイトハイクの狙いは「丹沢山から見るダイヤモンド富士」と「塔ノ岳山頂からの関東の夜景観賞」になるのですが、こちらの両方を日帰りで楽しむためには、真っ暗な登山道を下山しなければなりません。
20代の頃から夜景が好きで、夜な夜な関東近郊のスポットへ写真を撮りにドライブしていたのですが、いつしか山の上から見てみたい!という欲求にかられるようになりました。
また、夜景が嫌いな女性は少ないので、「夜景を見に行こう!」と人気のないところへ連れ出し、アレやソレやな展開に持ち込み、ウフフフ大成功♡と思いきや、思いっ切り叩かれたことも有ったような無いような・・・(笑〉
不純な動機が見え隠れする夜景観賞ではありますが、山の上から見下ろす街の光は本当に綺麗ですよね!
山頂付近にある山小屋で宿泊した登山者の特権のような景色になりますので、中々敷居が高い存在ではありますが、ナイトハイクさえ出来れば日帰りが可能ですので、山小屋泊の費用も圧縮できて魅力的な部分もあったりします。
しかしながら、ナイトハイクには魅力点な部分も多いですが、リスクも多く隠れておりますので、デメリットをシッカリと認識して楽しむ必要があります。
ナイトハイクに興味がある方には、メリット・デメリットをよく理解したうえで、静寂な山の中での登山と、夜景観賞を楽しんで欲しいなと思っております。
今回は私見を交えてナイトハイクの魅力とリスクについて掘り下げてみたいと思います!
ナイトハイクに必要な持ち物ついて
ナイトハイクは、「日帰り登山」になりますので、基本、必要な持ち物や山道具は一緒になります。
日帰り登山の持ち物につきましては、リンク先の記事で詳しく書いているので割愛しますが、ナイトハイクのリスク回避として頭の片隅に知れてほしい内容もありますので、そちらについて書いていきたいと思います!
ナイトハイクは2つ以上のヘッドライトの持参が望ましい
日帰り登山でも必須な山道具として挙げられるのがヘッドライトになります。
普通の登山でも、必ず1つは装備すべきアイテムになりますが、ナイトハイクのリスク回避のため、最低でも2つ以上は持っていくべきだと考えております。
山の中には、街中のような街灯は一切ありません。
真っ暗な登山道を歩くためにはヘッドライトが必須になります。
ヘッドライトが壊れて使えないと、進退窮まってしまいますので、ナイトハイクを計画する場合は、必ず予備のヘッドライトが必要になります。
上記のヘッドライトは、左側がブラックダイヤモンドの充電式ヘッドライトであるレボルトと、 右側がペツルのヘッドライトになります。
ブラックダイヤモンドのヘッドライトは、充電式になりまして、ペツルの方は、乾電池式になっております。
電源の規格が違えば、故障のリスクを分散できますので、出来たら同じようなヘッドライトではない方が良いかな?と考えております。
また、長時間の暗闇の中での行動になりますので、予備の電源(モバイルバッテリー等)・乾電池も必要になってきます。
そして重要なのが「懐中電灯は不可」になります。
理由は、片手が使えなくなり、転倒した時に受け身がとり難くなる点です。
転倒した拍子に懐中電灯を崖に落としてしまったりと、紛失のリスクもありますので、必ず固定が出来るヘッドライトが必要になります。
最近、首に吊るすタイプのLEDライトを購入したのですが、足元を照らすの重宝しております!
パナソニックネックライトになるのですが、こちらの記事で詳しく書いてますので、良かったら参考にしてみてください!
ナイトハイクは厚手の手袋の使用が望ましい
登山で怖いのが怪我になりますが、その多くの原因は「転倒」になります。
転倒すると、無意識に手が出て体を支えようします。
手がついた所に石や杭など鋭利な物がありますと、大きな怪我に繋がってしまいます。
ナイトハイクの場合、ヘッドライトの明かりのみで歩きますので、どうしても足元が見えづらく、転倒しやすくなります。
そんな時に役に立つ道具が、厚手の手袋になります。
登山用の手袋がない場合は、軍手や一般的な手袋で構いませんので、怪我予防として厚手の手袋が必要になります。
上記写真の手袋は、防寒テムレスといって、元々は水産加工や雪搔き用の防寒手袋になります。
黒色のモデルの物は、登山用に改良された手袋になるのですが、防水性、保温性能が素晴らしく、長く愛用しております!
チョットしたことにはなりますが、手袋していたおかげで軽傷で済むことが多いので、ナイトハイクに限らず、登山の時には着用をおすすめしております!
防寒対策が必須です
ナイトハイクは、名前の通り日没後の登山になりますので、非常に寒いです!
標高が1,000m付近になりますと、下界よりも6度前後気温が低くなります。
また、夜になると風が強くなることが多いので、体感温度がさらに低下いたします。
風速が1m/s強くなるほど体感温度で1度下がりますので、気温と同じくらい風の強さも防寒対策をする上で重要になります。
下界の気温が6度、標高1,000m地点(気温0度)の風速が10m/sの場合、その場所の体感温度は-10度になります。
ですので、普通の日帰り登山よりも、さらに防寒対策を行う必要がありますので、どうしても荷物が増えてしまいます。
季節や標高によっても違いますが、ナイトハイクをする時は、防寒対策として、写真右手のバラクラバを持参するようにしております!
冬山の登山道具としてバラクラバは必須アイテムになりますが、ナイトハイクの場合も有効な防寒対策になりますので、忘れずに持参してください!
ナイトハイクのメリット!
普段の登山では味わえないナイトハイクの魅力やメリットについて書いてみたと思います!
ナイトハイクの魅力であり大きなメリットしてあるのは、雄大な夕日の景色を静かに堪能できる点だと思います!
人気の山域になりますと、登山者がモリモリになってしまいますが、ナイトハイクの場合、ほぼ登山者がいませんので独り占め出来ちゃいます!
こちらは、先日のナイトハイクの時に撮影した富士山になるのですが、日の入りから暫く経たないと、こんな感じの夕日のシルエットを見ることができません。
この数分後には闇が訪れ、一面真っ暗になりますので、ナイトハイクの準備をして臨んでいないと「アウト!」になってしまいます。
光と闇のコントラストが楽しめるのも、ナイトハイクの魅力かな~と思います!
また、ナイトハイクの醍醐味と言ったら、都会の夜景観賞かな~と思います!
個人的には、日没間際から1、2時間経過したくらいの夜景が一番好きだったりします。
暗くなり、徐々に明かり増えていく様子が、なんとも言えない感じです!って、少しマニアックな性癖ですかね?(笑〉
空気が澄んでくる秋から春にかけてのナイトハイクは、天候に恵まれれば素敵な夜景を見ることができると思います!
普段、大混雑する頂上も、この時間なら人がいませんので、素敵な景色を独り占めすることが可能です!
ナイトハイクのデメリット
メリットや醍醐味がモリモリなナイトハイクですが、良いことばかりではございません。
つづきましては、ナイトハイクのデメリットについて書いてみたいと思います!
滑落事故や怪我する確率が高まる
ナイトハイクで下山中の写真になるのですが、一面真っ暗で何も見えません。
ヘッドライトで登山道を照らしているのですが、狭い範囲になってしまいますので、どうしても足元や周辺の様子が分かり難くなってしまいます。
足元ばかり照らしていると、進行方向が疎かになりますし、逆もしかりになりますので、ナイトハイクは非常に歩きにくいです。
歩きにくいこともあって、中々コースタイム(下山時間)がよめないデメリットがありますのでその点も要注意です!
そしてナイトハイク中で特に怖いのが浮石になります。
ヘッドライトで照らしても安定している石なのか見分けがつかず、足を置いた拍子に動いたりして怪我に繋がってしまいます。
足元が良く見えず、木の根っ子に躓いたりして転倒する確率も高まりますので、手を保護する上でも上述した厚手の手袋が必須になります。
また、周辺が暗くて地形が良く分からず、崖に足を取られたりして滑落事故の危険もはらんでおります。
明るい時なら周辺の様子が分かりますのでアレですが、ヘッドライトでナイトハイクしていると、直前まで危険地帯に気づかず肝を冷やすことがあります。
道迷いのリスクが高まる
ナイトハイク中に撮影した道標になるのですが、ヘッドライトで照らさないと真っ暗で全く見えません。
これだけ目立つ道標でも、ナイトハイクでは気づかない恐れが高くなりますので、大きなデメリットになります!
メジャーな登山道ですと、道標に「反射板」が付いていて、ヘッドライトの光に反射して目立つものが多いのですが、これは稀でございます。
普段歩きなれた登山道ならアレですが、ルートを熟知していないと道迷いのリスクが非常に高まります。
真っ暗で地形や周辺の景色もわかりませんので、ナイトハイクの場合は目印になるものがありません。
踏み跡が薄かったり、バリエーションルートになりますと、ナイトハイクで歩くのは至難の業だと思います。
ナイトハイクを楽しむ場合は、日頃から良く歩いている登山道に限定し、よく分からないルートは絶対に歩かないことが道迷いのリスクを減らすためにも必要です。
登山中の道迷いについて書いた記事になります。
道に迷った時に知ってほしい知識についても触れてますので、登山の参考になれば幸いです。
野生動物との遭遇の確率が高まる
登山をしていると、時々見かけえる野生動物との遭遇が楽しみの1つになりますが、ナイトハイクの場合、更に確率が高まります。
こちらはナイトハイク中に遭遇した鹿の写真になるのですが、下山するまでの間に30頭近く見かけました。
登山中に野生動物を見たい方にはデメリットにはならないかもしれませんが、それでも襲われる可能性がありますので注意が必要です。
特に怖いのがイノシシ、ツキノワグマとの遭遇です。
両方とも夜行性の生き物ですので、動きが活発になります。
生息数などを考慮すると、ツキノワグマよりもイノシシと遭遇する確率が高まるのですが、かなり鋭利な牙を持っているので、突進して刺されてしまうと致命傷を負ってしまう可能性があります。
登山道がモリモリ掘りこされている景色を見たことがある方も多いと思いますが、アレはイノシシが夜間、地面を掘り起こし餌を探していた跡になります。
イノシシは数も多く、力も強い生き物ですので、臆病で生息数が少ないツキノワグマよりも厄介な相手になります。
ナイトハイク中に野生動物と遭遇し怪我してしまっても、周辺には誰もいませんので、一気に進退窮まってしまいます。
また、生息数の少ないツキノワグマといっても、今年は人里での目撃情報が多く、ナイトハイク中に出くわさないとも言えません。
日中の登山以上に野生動物との遭遇による怪我のリスクが高いので、その点も注意を払う必要があります。
登山中、目の前にツキノワグマがいてビックリした時の顛末になります。
熊の冬眠についても触れますので、良かったら参考にしてみてください。
ナイトハイクの曜日によっては山小屋が期待できない
ナイトハイクで心強い味方になってくれるのが山小屋の存在になります。
しかしながら、山小屋といっても通年営業している小屋は少なく、曜日によっては営業していないことが多いです。
こちらの写真は、丹沢山塊の主要登山道上で営業している山小屋になるのですが、土曜日にであるにもかかわらず営業しておりませんでした。
ナイトハイク中にケガなどのトラブルがあったとしても、営業していなければ逃げ込むこともできませんよね。
また、山小屋が営業していたとしても、常識を外すような時間帯に訪れるのは迷惑な話になります。
上述した野生動物との遭遇が怖いからといって、山小屋周辺で熊鈴を鳴らしたり、大音量のラジオ等の音はご法度になります。
山小屋によっても違いますが、早く就寝する登山者もいますので、20:00以降は迷惑にならないよう注意を払う必要があると思います。
迷惑な登山者と夜中に到着するマナーの悪い山小屋泊・テント泊者に思うこと
こちらの記事で迷惑な登山者について書いてますので、ナイトハイクのマナーの確認をこめて、読んでいただけたらと思います!
基本、私はナイトハイク中は、熊鈴やラジオは一切鳴らしません。
静かな山歩きがしたくてナイトハイクをしていますので、野生動物には気を付けるものの、大きな音は立てないようにしております。
この感覚は、何度かナイトハイクを経験すると分かって頂けるのではないかな~と思いますが、普通は怖くて熊鈴をモリモリ鳴らしちゃいますよね。
話が脱線しちゃいましたが、曜日によっては山小屋が営業していないこともありますので、ナイトハイクをするコース上の営業日については事前に調べたほうがリスク回避につながると思います。
また、リスク回避として、日帰りの予定でも、山小屋に宿泊できるくらいのお金を持参する必要がありますよね。
ナイトハイクは荷物が多くなる
上述してますとおり、ナイトハイクの場合は、普通の日帰り登山と比べて荷物が増えてしまいます。
ヘッドライトも複数必要ですし、防寒対策も重要ですので、荷物が重くなってしまいます。
また、寒い季節のナイトハイクの場合、温かい飲み物が必ず欲しくなります!!
そうしますと、水の量も多く持参しないと足らなくなってしまいますので、その分荷物が増えてしまいます。
また、コース設定によっては、夕食も用意しなければなりませんので、食料を多く持参しなければなりません。
今回ナイトハイクした時は、朝食・昼食・夕食を持参したもので、かなりの荷物になってしまいました。
3食とも「貧乏セット」を持参したもので、なんだか寂しい気持ちになってしまいました(笑〉
普通の登山の場合、昼食+非常食で臨む方が多いと思いますが、それに夕食分が加わりますので、ザックの中で自己主張が大きくなり、荷物が入いらないデメリットが出てくるかもしれません。
荷物が多いと、疲労も蓄積しますし、下山中バランスを崩しやすくなりますので、ナイトハイクの場合は、荷物をどこまで軽量化するかが悩ましい感じになります。
この辺は、経験に勝るものはないのかな~と思いますので、ナイトハイク経験者の意見を参考にするのが一番かな~と思っております。
ヘッドライトの過信は禁物です!
ヘッドライトがあれば何とかなるだろう!と思う方もいますが、ナイトハイクをする日の条件によっては、かなり微妙なことが起きてしまいます。
何が微妙かと申しますと、ヘッドライトの光が乱反射して周辺が良く見えい事が起こります。
言葉で説明するのが難しいのですが、雨やガス、霧が立ち込める中でヘッドライトを照らしても、光が乱反射してホワイトアウトのような状態になってしまいます。
また、寒い季節になりますと、自分の吐いた白い息にヘッドライトの光が乱反射して、同じようなホワイトアウトのように光が届かずよく見えないことがあります。
特に自分の吐く息は、足元を照らすのに悪さをしますので、結構危なかったり致します。
寒い時期にナイトハイクをする場合は、自分の吐く息の対策が地味に必要になりますので、マスクやバラクラバ等で口元を覆うのが有効になります。
また、登山の定石になりますが、天気が悪い時はナイトハイクは絶対に行わないことも重要ですよね。
足元が濡れていれば、それだけ転倒するリスクも高まりますし、ヘッドライトの光も届きにくくなるので良いことは全くございません!
妖艶なライトの光で萌えるのは、セクシー山ガールだけで十分ですので(?)、ヘッドライトの光が乱反射しやすい悪天時の登山は控えたほうが無難になります。
まとめ
登山の常識としてあるのが「夜の登山は厳禁」になります。
上述したリスクがモリモリありますので、ナイトハイクは以ての外だ!と、思っている方が多いと思います。
個人的には、そんな考えも一理あると思っているのですが、適切にリスク回避ができるならば、ナイトハイクは登山の経験値を上げるうえでも有効であるとも思っております。
登山中のトラブルは、日時問わず襲い掛かってきます。
日の入りまでに下山できず、山中で日没を迎えることは大いにあり得ます。
そんな時、初めてのナイトハイクだとどうでしょうか?
経験も技術も知識もない中、夜道を歩くよりは、リスクを認識しながらもナイトハイクの経験があるのとでは雲泥の差があると思っております。
山中で日没を迎えたらその場から動かずビバークするのが定石にはなりますので、色々と判断が必要にはなりますが、ナイトハイクができる!というのは、選択肢を広げられるスキルの1つかなと思います。
単独は避け、歩き慣れた登山道でナイトハイクを楽しんでいただけたらと思います!
ナイトハイク中に遭難・パニックを起こしている登山者と遭遇した時の記事になります。
正直、野生動物よりも人間との遭遇の方が怖いです・・・。
ナイトハイクで丹沢主稜・丹沢州脈縦走した時の記事になります!
ダイヤモンド富士と塔ノ岳山頂からの夜景が素晴らしく、忘れられない時間になりました。