雪で水を作れるのか!?そのメリットは?
今年は全国的に積雪が多ですよね!
スキーやスノボーをされる方にとっては、今年はベストシーズンになるのかもしれませんが、ネックになるのが新型コロナウイルスですよね。
私は季節関係なくテント泊を楽しむもので、雪が積もっていると雪上テント泊をしたくなるのがですが、風邪をひくと非常に面倒臭い事になるもので、新型コロナが落ち着くまでは、寒い季節のテント泊は自粛しようと思っております。
そんな雪がある時期のテント泊は、水の心配がいらないので、荷物を減らせて良いですよね!
水の重量から解放されるメリットがある反面、防寒具が増えて荷物が重くなるのが難点ですが、積雪期のテント泊は、水場を気にせず幕営出来ますので、その辺も魅力の1つになりますよね。
水場がないのにテント泊出来るのか?と思う方もいるかもしれませんが、基本、積雪期のテント泊は、雪を使って水を作るので問題ありません。
しかしながら、雪から水を作るやり方を知らないと、不衛生でとても不味い水になってしまい、テンションダダ下がりになってしまいます。
今回は、雪山でテント泊のスキルの1つである「雪で水を作るやり方」について掘り下げてみたいと思います!
私は事務(経理)の仕事をしているのですが、諸事情で畑違いな「公害防止管理者」という国家資格を取得することになりました。
その時に勉強したのが「水質二種」という分野になるのですが、こちらは「雪で水を作るやり方」に応用できる点が多かったりします。
何故かと申しますと、下水処理場(浄水場)とかで働けるような分野になりまして、汚水を綺麗にして飲めるようにする学問になるからです。
知識がなくても雪から水を作ることは可能ですが、それでもある程度の水処理をしないと美味しい水を得ることは難しいです。
また、雪山登山中に、水の代わりに雪を食べている方が時々いますが、結構危険な行為になりますので、その理由についても触れていきたいと思います!
雪から水を作るために必要な山道具について
雪から水を作るためには、ある程度山道具が必要になります。
普段、雪から水を作る時に使っている山道具が鍋(コッヘル)、スコップ(あれば)、フィルター、ガスバーナー、浄水器になります。
それに、大量の雪が必要になります。
雪質よって変わるので、あくまでも目安になりますが、雪から1Lの水を作るのに、コンビニ袋で1袋~2袋位の雪が必要になります。
ちなみに、一般的なゴミ袋(コンビニ袋)は、だいたい10L前後になりまして、大きさは40cm×50cmになります。
この大きさで2Lのペットボトルが2、3本入る容量になるのですが、如何に雪から水を作るのに大量の雪が必要になるかが分かるかと思います。
そして雪から水を作るのに適しているのが、大きな鍋(コッヘル)になります。
最近愛用しているシートゥーサミットクッカーX-ポット(シリコン鍋)について書いた記事になるのですが、容量も大きく、軽量なので、雪から水を作るのに適した鍋であると思います!
また、雪を解かすのに火器(バーナー)が必要になるのですが、火力の強いシングルガスバーナーや、大量の雪を鍋に入れても安定感のある分離式バーナーがおすすめの山道具になります!
そして、雪を解かした不衛生な水をそのまま飲む訳にはいきませんよね。
一見、私の心の様に透き通った美しさがある雪になりますが(?)、見えない汚れがモリモリと付いていたりします。
特に風乗って飛んできた「砂」、「落ち葉」、「枝」等が曲者で、変な味がしたり、喉ごしが悪くなってしまう原因になります。
そのため、解かした水を浄水(濾過)しないといけないのですが、私の場合、コーヒーを淹れる時に使うフィルターを使っております!
こちらが愛用します「ハイマウントのコーヒーメッシュフィルター」になります!
普段は、コーヒーを淹れる時に使っているのですが、雪から水を作る時に大活躍します。
写真の通り、金属製のメッシュフィルターになるのですが、こちらをろ過材として使用すると、解かした雪の水に含まれる異物をある程度除去することが出来ます。
そしてハイマウントのコーヒーメッシュフィルターと同じくらい活躍しているのが、こちらのユニフレームから発売されております、「コーヒーバネット」になります!
解かし雪に含まれている異物をメッシュフィルターと同じように除去するために使うのですが、こちらは「紙フィルター」を使うモデルでした、交換するのが面倒臭かったりします。
ある程度、大量の水を作ると思いますので、紙フィルターを使うコーヒーバネットよりは、紙フィルターを使わないメッシュフィルターを使った方が、効率的に濾過が出来るかなと思います。
このフィルターを使うことにより、結構解かした水の汚れを除去することが出来ますので、おすすめでございます!
フィルターがない場合は、「沈降濾過法」と言って、解かした水をそのまま静置し、重力を使って異物を底の方に落とすやり方もあるのですが、時間が掛かるのが難点になります。
面倒臭い場合は、アウトドア用の小型浄水器が発売されておりますので、そちらを使って濾過・消毒をするのが一番確実です!
こちらの記事で、アウトドア用の小型浄水器について詳しく書いてますので、何かの参考になれば幸いです!
雪で水を作るやり方について
続きましては、実際に雪で水を作るやり方について書いてみたいと思います!
テント泊の時に、雪から水を作っている時の様子になります。
解かした水(お湯)をコーヒーフィルターで濾過している状況になります。
綿飴を作っている的屋のおじさんではないので、間違わないようにしてくださいね(笑)
見難いと思いますが、シングルガスバーナーの奥に見えるコンビニ袋(白い塊)が水を作るのに使用する雪になります。
この量の雪を全て解かすと、だいたい2L前後の水になります。
こちらは、日帰り登山中に水をモリモリとこぼしてしまい、水が足らなくなってしまい、急遽、雪で水を作っている時の写真になります。
450mlのカップとアルコールストーブを使って雪で水を作っているところなのですが、これくらい雪を4回くらい解かして、よ~やく1Lほど水が作れた感じです。
アルコールストーブも、火力はかなり強いのですが、それでも大量の雪の前には力が足らず、水を作るのにモリモリ時間が掛かりました。
解かした雪の水を濾過する道具を持っていなかったので、出来た水の上澄み部分と、カップの底の水は飲用として使いませんでした。
比重の軽いゴミや汚れは表面に滞留し、比重の重い重金属系のゴミは、カップ底に沈みますので、極力飲用として使用しない方が良いと思います。
雪で水を作るやり方の流れになりますが、ザックリ纏めると、こんな感じになります。
雪を集まる → 鍋に少量の水を加え熱する → 沸騰したら雪を鍋に入れる → 弱火で雪を解かす → 解けて無くなったら雪を再度投入 → 解けにくい場合は呼び水(水を少量入れる)を入れる → コーヒーフィルター等でゴミ・汚れを濾過する → 煮沸(面倒な場合は浄水器で濾過)→ 水の出来上がり!
雪集めになりますが、極力綺麗な新雪を狙った方が良いのですが、シッカリと雪で水を作る準備ができていれば、あまりこだわる必要はありません。
また、コッヘルの大きさなどによって変わってきますが、ザックリ、1Lのコッヘルを使って雪から2Lの水を作るのに掛かる時間は約1時間前後です。
強火ではなく弱火でやるのは「燃料の消耗を抑えるため」と「暖房代わりにするため」になります。
厳冬期は、テントの中も非常に寒くなりますが、弱火でも火をつけていると、かなり暖かくなります。
換気に注意が必要ですが、水を作りながら暖がとれるので、弱火でコトコトと時間をかけながら雪を解かして水を作るようにしております。
考え方にもよりますが、強火でガンガン雪を解かして煮沸も兼ねてしまうのもアリかと思います。
ただ、移し替えす容器の素材が耐熱なのか?と、小型浄水器は熱に弱いので、その点注意が必要です。
そして雪で水を作るやり方の心得の1つが「みだりに動き回らない」になります。
個人的には、「お地蔵様プレイ」だと思っているのですが(?)、テント泊の時に、雪で水を作る場合は、その場から離れないことが大事になります。
何故かと申しますと、動き回るとバーナーや鍋(コッヘル)にぶつかり、テントの中に水をばら撒いてしまう恐れがあるからです。
シュラフを濡らしてしまうと、防寒性能が失われ(特にダウンのシュラフは濡らしてはいけません)、非常に寒い思いをしながら寝る羽目になりますし、最悪、凍傷や低体温症を発症してしまうリスクがありますので、絶対に濡らさないことが重要です。
濡らして良いのは「女性限定」にしたいものですよね!!!(???)
え~・・・どこを濡らすのかは書けないのですが、仮に熱湯をこぼしてしまうと、火傷の恐れもありますし、テント火災もあり得ますので、雪で水を作る場合に限らず、テント内で火器を使う時は「動き回らない」が鉄則になります。
雪を食べるのは危険と理由について
雪が積もると、ついつい食べたくなってしまいますよね(笑)
イチゴやレモンのシロップをかけて「天然のかき氷」として食べたくなるのが人情ってもんですよね!
非常に綺麗に見える雪ではありますが、そのまま食べるのは危険ですので控えた方が良いかと思います。
雪を食べるのが危険である理由は、「汚い」ことと「低体温症のリスク」があるからです。
なぜ、綺麗に見える雪が汚いかと申しますと、そもそも雪が出来る原理を知る必要があります。
顕微鏡を使った綺麗な雪の結晶を見たことがある方は多いと思いますが、そんな結晶が出来るには「核」が必要になります。
雪の結晶の核になるのは、大気中のチリや埃などになります。
この核になるチリや埃が曲者になりまして、大気汚染が進んでいる地球上では、なんだか分からない有害物質が数多く飛散しております。
特に我が国は、偏西風の景況を受ける関係で、大陸から「黄砂」や「大気汚染物質」がモリモリ飛来しております。
中国や発展途上国で排出されている排ガスは、厳しく環境規制がされておりません。
その有害物質が偏西風に乗って日本の上空を飛来してますので、それが雪の核となっていても不思議ではないですよね。
そして毎年ニュースになる黄砂ですが、その発生源は核実験場があった地域になりますので、風に乗って飛んできて雪の核になっている可能性もぬぐい切れません。
また、付近に獣が歩き糞尿で汚染されても、新たに雪が積もれば確認しずらくなりますので、綺麗に見えても「雪は汚いものである」といった認識が必要です。
また、冷たい雪を食べてしまうと、内臓を冷やしてしまいます。
暑い夏場でも、かき氷を食べ過ぎて頭が痛くなったり、体が冷えて寒く感じる事がありますよね!?
内臓が冷えると消化の妨げになりますし、冷えた体を温めるために熱を生み出さなければなりませんので、その分、カロリーの消費(体力の消耗)につながってしまいます。
冬山の場合、ただでさ寒い環境になりますので、その中で雪を食べれば体の内側が冷えてしまい、最悪低体温症の発生リスクが増えてしまい大変危険な行為になります。
上記の理由から、影響は小さいと思いますが、雪を食べるのは危険な行為になりますので、雪を解かして水にしてから飲むようにしてください。
まとめ
雪から水を作る方法も、簡単そうに見えて、意外と奥が深い登山・アウトドア技術だと思っております。
私はアオヒゲに毛が生えたオジサンですが、本格的な雪山登山愛好家は、テキパキと凄い速さで雪から水を作るので、その作業を見ていると惚れ惚れしてしまいます。
何事も「慣れ」の部分が大きいですが、見るのとやるのではだいぶ違いますので、登山の練習として「雪から水を作る」のもアリだと思います。
失敗や苦労を経験して、初めて分かる事が多々あるかと思いますので、一度試していただけたらと思います!