- 丹沢遭難滑落事故で救助要請について
- 遭難滑落事故で救助要請し警察・消防のヘリコプターでの救助の様子
- 警察・消防の救助が開始。その時に感じた事
- 丹沢遭難滑落事故のその後について
- 遭難事故の教訓について
- まとめ
丹沢遭難滑落事故で救助要請について
今日は、前回に引き続き、丹沢の三ノ塔尾根で下山中に目の前で発生した「遭難滑落事故で救助要請!警察・消防の救助と事故の教訓」について書いてみたいと思います!
今回の丹沢遭難滑落事故に遭遇した結果、夕方には家に帰りマッタリする予定が大幅に変わり、とても長い救助のお手伝いの一日になりました・・・。
後述しますが、遭難事故の救助のお手伝いが終わった後も、警察・消防とのやり取りが続きまして、その日だけでは終わらず、かなりの時間を吸い取られてしまいました。
滑落事故や遭難事故に遭遇した時の教訓ではないですが、この記事が何かのお役になれば幸いです。
こちらは、前編で記載したの遭難滑落事故で救助要請した記事になります!
遭難滑落事故で救助要請し警察・消防のヘリコプターでの救助の様子
街から近い丹沢山塊なら直ぐにヘリコプターが来て救助完了だろうと思っていたのですが、実際は救助要請してから1時間経っても到着せず、16時頃になってよ~やくヘリの音が近づいてきました。
待っていたかのように私の携帯がモリモリと鳴り響き、
「登山者の怪我の具合はどうですか?分かりますかね?」
「登山道から何メーター落ちたか分かりますかね?ザイルの長さの関係で知りたいんで。」
「アオヒゲさん、今日忙しいですか?申し訳ないが、最後まで残って貰えんか?色々と遭難事故の詳細を聞きたいので。」
「尾根のどこら辺に居ますかね?居場所が分かるように合図して貰えないか?」との事で、
「登山道からは見えないので、50m以上は落ちてると思います。鏡と、ヘッドライト、カメラ(一番レフ・コンデジ)のフラッシュで遭難滑落現場から合図します!」
と伝え、ヘリコプターが近づいてきたので上記の手段をやってみたものの、全く居場所が伝わらず、時間だけがどんどん過ぎ去ってしまいました。
遭難事故があった三ノ塔尾根は、杉林が広がり空が開けている個所が少なく、いくら木々の間から居場所を合図をしても救助のヘリコプターには伝わらなかったのです。
「あんなに近い所にヘリコプターが飛んでいるし、こちらからはヘリの姿が見えているのに何で私達を発見してくれないんだ?」
と疑問がモリモリと沸いてしまいました・・・
あまりにも私達に警察・消防が気付いてくれないので、
「なにかを燃やして煙(狼煙)で知らせるか?」
と、話が出たのですが、一緒に救助のお手伝いをしてた登山者の方が
「そりゃ~危ないからやめよう。風もあるし空気も乾燥しているしね。」
となり、埒が明かないので、私の携帯電話に着信があった警察の電話番号に連絡することにしました。
「直接ヘリコプターに動きを指示したいんですが。」
と警察の方に伝え、電話で救助ヘリコプターと直接やり取りできるようにして貰いました。
「そっちじゃない!右右、行き過ぎです!!もうちょっと左」
このような感じのやり取りを5分前後行ったのが幸いして、よ~やく私達を見つけてもらえました。
あの時、ヘリコプターに見つけて貰えた嬉しさといったら言葉では表せないですね~
ヘリコプターに乗っていた警察・消防の方も満面の笑みでした!
いざ、ヘリコプターで救助者を吊ろうと試みるも、杉の木が邪魔をし思うようにいかず、何度やっても駄目で、「こりゃ~ヘリコプターでの救助は難しいな~」と思ったところで再度警察から電話が有りました。
「ヘリの燃料が無くなりそうなので基地に引き返しますが、横浜からもう一機向かわせるので、そのまま待ってて下さい。」
との連絡で、さらに待つことに・・・。
しばらくすると、横浜の市外局番から山の様な電話が掛ってきて、上記と同じようなやり取りをし、三ノ塔尾根だと何度も言っているのに、表尾根だと勘違いし、「塔ノ岳のどこら辺ですか?」と聞かれる始末で・・・。
経緯は分かりませんが、担当・所轄がかわると、情報の伝達が上手くいかないのは、我が国の伝統なのかな?と、思ってしまいました(笑)
その間、知らない電話番号からメールが届き、私の携帯のGPSの座標を取得するような、リーモートファイル(遠隔操作)みたいなのが送られてきて、警察はそんな事も出来るんだ~とちょっと驚きました。
※送られたメールに、現在地と思われる座標が記載されてました。
docomoの携帯を使ってるとは伝えてませんし、携帯にGPS機能が有る事も言ってないので、私の携帯番号から色々と調べたんでしょうかね~!?
結局、横浜から再度ヘリコプターの救助が直に来たものの、やっぱり木が邪魔で吊り上げることができず、三ノ塔の山頂に救助隊を下ろし、人力で救助する事になりました。
しかし、三ノ塔の山頂付近は強風で救助隊が下りられず、近くの二ノ塔の頂上から下りる事になりました。
?
警察・消防の救助が開始。その時に感じた事
遭難事故が発生してから、時間がどんどんと過ぎ去り、既に暗くなった18:30頃になって、よ~やく3名の救助の方(警察隊員)が到着となりました。
少しすると、地上から三ノ塔尾根を登ってきた救助隊(消防隊員)の方も合流し、一気に救出となりました。
※滑落者を収容し、二ノ塔まで担いだのか、それとも下山したかどうかは不明です。
その後、救助の最中でしたが、
「暗いし寒いので誘導するので皆で登山口まで下りましょう。」
となり、救助に来た方と一緒に下りて、大倉(登山口)まで警察車両で送って頂き、滑落した方のパーティーは最寄りの警察署で待機となりました。
※この時点では、まだ救助の途中でした。
無事に下りれたのでアレですが、そのパーティーの二人はライトを持ってなく、救助に来た方のを借りる始末で、「やっぱりどんな山でも登山するならライトが必ず必要だな~」っと思った次第です。
ヘッドライト等は、日帰りだと使わない事が多いですが、何かあれば明るい内に下りれないかも知れませんので、ライトは必須の装備だと思います。
真っ暗な登山道をライトなしで下りる事は不可能です!!
滑落現場から下りてる最中も、続々と警察・消防の救助の方とすれ違い、かなり重そうな照明機材とかを担ぎながら登っていきました。
救助隊の皆さんから、「遅くなってしまって申し訳ない。」と口々にこちらに謝ってきて、当事者ではないですが、「本当に申し訳ないな~」と強く思った次第です。
丹沢三ノ塔登山口である林道(牛首)に着き、警察車両に乗った直後から事情聴取となり、名前、住所、年齢、電話番号、会社名、会社の部署等など根掘り葉掘り聞かれ、その日の聴取は終了となりました。
結局、家に着いたのは21時過ぎで、17時位には家に帰ると家人には伝えていたので、強烈な雷が私に落ちたのは言うまでもございません。
実は、携帯の電池の関係で、家には状況を連絡しませんでした。
も~少し帰りが遅かったら「捜索願」を出すつもりだったと言ってましたので、ミイラ取りがミイラ状態ですよね・・・f^_^;
丹沢遭難滑落事故のその後について
翌日から警察署より電話がモリモリあり、1、2度ほど遭難事故について聞かれ事に返答したものの、仕事中で出れない事もあったりで、その後いつの間にか連絡が無くなりました。
事件性が有るかどうかだけ知りたかったみたいで、(ドラマみたいに、崖に落とされたんじゃないか?と、考えているみたいでした。)落ちた状況を詳しく聞かれ、「一人で勝手に落ちた。と伝えました。」
その後、落ちた方の怪我の具合などは、本人及びパーティーの方から連絡はなく、今現在どうなったのか分かりません。
お金や物などは一切要りませんが、一言有っても良いのでは?と感じております。
丹沢での遭難滑落事故から1年経った後、再度、救助現場付近に登山で行ったのですが、登山道のコースが滑落した崖から少し離れ、尾根の真ん中を通るようになっておりました。
※滑落した所に、お花を置いた形跡が無かったので、怪我で済んだと確認できた。
遭難事故の教訓について
登山本とかに出てくる当たり前の事が多くなりますが、今回の遭難滑落事故の救助要請の経験から纏めさせて頂きます。
● 交通の便がよく、街からも近い神奈川の丹沢山塊ですが、その中でさらに街に近い今回の尾根(登山道)ですら、通報から救助まで4時間以上掛かってますので、山中で事故や病気などが発生しても直には救助は来ません。
(今回の場合、救助ヘリコプターで吊り上げれれば、もっと早かったんでしょうけどね。)
● どんな山でも必ずヘッドライトは必須です。救助隊のライトを借りたら救助活動ができなくなります。救助の方も予備ライトは持っておりませんでした。
山に入る時は、登山用でなくても大丈夫ですので、必ずヘッドライトを装備して下さい!
● 少し余分に食料・水が有ると良い。不安の中、甘いチョコ等を食べると何故か安心し落ち着きました。
パーティーの女性(二名)も、最初はパニックになり取り乱しておりましたが、甘い食べ物とお煎餅を食べたら静かになりました。
● 登山道によく設置してある「ここは●●尾根で○番です。緊急時には●●まで連絡」等の看板は、現在地の確認や救助を呼ぶ事が発生した場合の目印になりますので、必ず確認して現在地を覚えた方が良いと思います。
● エマージェンシーシート(保温シート)は値段も安く軽いので持っていた方が良い。今回の件から、山行時には必ず持ち歩くようにしました。
● 携帯電話は命綱です。圏外で電源をつけていると、基地局を探し電池を多く消耗するので、必ず電源は切って持ち歩くこと。
出来たら充電器(予備バッテリー)があると安心かもです。
● 高度計やGPSを持っていれば現在地を伝える時にスムーズだと思います。
● もし、単独登山中、自分の意識が無くなってしまった時の為に、自分が何者で、緊急時は何処に連絡して欲しいかを書いた紙等をザックや肌身に忍ばした方が安心かも知れません。
● 今回の件で、木が生い茂る尾根だと捜索のヘリコプターから見つけてもらえず時間が掛かるので、山岳用の狼煙が有ると便利かも?っと思い調べたんですが、いまだ装備に至らずです。
● 救助を呼んだ後は、違う携帯番号で110番、119番に連絡は取らないほうが良い。
違う番号から連絡すると、同じ事故の通報なのに、違う事故だと警察・消防は認識します。
一回救助要請を受けると、誤報なのか?、本当に救助に向かわなくて平気なのか?を、細かく確認してきます。
今回、私が近くに居ない時に、パーティーの女性が再度消防に通報してしまい、凄く混乱させてしまいました。
まとめ
目の前で滑落者を見たら、迷わず助けに行きますが、批判を恐れずに言えば、非常にめんどうな事になりますので、極力関わりたくないです。
第一通報者でなければ、警察・消防の救助隊が来た時点でこっそり帰りたかったです。
最後は私見になってしまいましたが、楽しい山行も、他人の不注意の為に一瞬にして辛い山の時間に変わってしまいます。
暗く寒い中で助けを待ち、色々と動き回りながらやり取りするのは正直疲れます。
救助にあたる警察・消防の方達も危険な目に遭わせる事になってしまいます。
「自己責任だから」って安易に言う人がいますが(私もそうですが・・)、実際救助要請する事態になれば、「自己責任だから救助に行きません」とはなりませんので、やっぱり消防・警察の言う事には耳を傾けるべきだと私は思います。
全力で救助する姿、文句も言わず暗い山道を重装備で登って行く姿は頼もしいですし、協力しなければバチが当たります!
私達は気付いてないだけで、24時間大きな組織に守られていたんだな~って再確認致しました。
非常に長くなってしまい、読み難い記事になりましたが、皆様も気をつけて、これからも楽しい山での思い出を刻んでいってください!!
※もう1つの滑落事故の救助の内容を記事にしました。
※今回の記事の内容をさらに掘り下げ滑落・遭難救助にいくらかかるのか?を書いた記事になります。良かったらご参考にしてみてください!