富士山で救助要請したのに連絡せず自力で下山した登山者の詳細
ニュースを見ていると、朝からとんでもない話が目に留まり、強い憤りを覚えてしまいました。
何に怒っているかと申しますと、都内在住の20歳代の男性が、富士山に登っている途中、疲労で動けなくなり、富士山の8合目付近で救助要請したものの、その後連絡せずに自力で下山したそうです。
その後、無事に富士山から下山した事を直ぐに知らせることもなく、帰宅してから警察に連絡するという、なんとも常識のない行動に思わず絶句してしまいました!!
世も末だな~と感じてしまったのですが、きっと本人は全く悪い事をしたと思っていないんでしょうね・・・。
救助要請した本人が、無事に下山した事を伝えなければ、捜索は続行される事くらい分からんのかな~と思ってしまいました・・・。
富士山の山開きは、例年7月1日になるのですが、他の山と比べて結構遅い日程になります。
山開きが遅くなる原因は、標高の高い富士山の山頂付近の雪が多く、登山道の整備に時間がかるためになります。
5月のこの時期は、少し調べれば富士山の山頂付近に雪が多いことは直ぐに分かると思います。
自分の安全のためにも、登山届けは忘れてはいけない重要なツールになりますが、そちらにつきましても届けを出していなかったそうです。
また、雪山登山では必須道具であるアイゼン(滑り止め)も持っていないという軽装での登山だったそうですので、も~フォローの仕様がないですよね。
「無謀登山者」と呼ばれても仕方のない輩でございます。
アイゼンも持っていないということは、きっとピッケルも持っていなかったでしょうね。
雪のある時期の富士登山は、「滑落」の危険性が非常に高くなりますので、アイゼンは勿論の事、ピッケルが必要になります。
富士山での滑落事故も多く起きておりますので、そちらにつきましても後述したいと思います。
また、今回の件で一番頭にきたのが、捜索中にもかかわらず帰宅してから連絡を入れた点になります。
登山の定石としてあるのは、救助要請したらその場から離れないになります。
登山中、道に迷ってしまった時も、やたら滅多動かずに、その場で救助を待つのが良いとされているのですが、それと同じになります。
報道によると、この非常識な登山者は、帰宅した22:00頃に警察に連絡を入れたそうです。
東京都在住としか記載がありませんので、詳細は分かりませんが、仮に富士山の登山口に近い「富士山駅」から電車に乗り「東京駅」までの移動時間を調べてみると、約3時間かかります。
富士山の5合目にはバス停があるので、もしかすると、そちらを使って最寄の駅まで移動したのかも知れません。
そちらを考慮すると、富士山5合目のバス停から最寄の駅まで約1時間は掛かります。
携帯電話で連絡がとれる富士山5合目付近で「自力で下山した」と警察に連絡を入れれば、少なくとも4時間前に捜索を終了する事ができたはずです。
今回の騒動で、6人の捜索隊が常識のない登山者の為に命をかけて捜索したそうですが、この大馬鹿野郎の捜索費用は、我々の税金が使われております。
消費税増税を控えたこの時期に、ま~頭にくる税金の使われ方になりますよね!!
また、無謀登山者の為に申し訳ないな~と思ってしったのは、既に下山して要救助者がいない富士山の山中を21:30まで捜索したそうです。
連絡が取れる地点で下山したと報告していれば、少なくとも暗くなる前である17:00頃には撤収できていたはずです。
真っ暗の中で探し回るのは、滑落の確率を高めてしまいますので、非常に危険が伴います。
富士山は、意外と落石の多い山になりますので、暗いと気付くのが遅れてしまい逃げられない事も考えられます。
きっと、この6人の捜索隊は「なんとしても助け出したい」と思いながら活動をしていたんだと思います。
捜索隊にも大事な家族がいるでしょうし、今回の無謀登山者の行動は、「ごめんなさい」では済まされないと思ってしまいます。
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富士登山の登山届けの義務化の動きとガイドラインについて
今回の無謀登山者は、「登山届け」を出していませんでしたが、このような救助要請がある時に捜索の助けになります。
登山届けには、自分の名前、年齢は勿論の事、緊急連絡先や、当日の登山の予定(計画)、どんな装備を持っているか(食料)を書く欄があります。(自治体によって書式は異なる)
登山届けを見れば、捜索する範囲を狭めることができますし、直ぐに発見できなくても、持っている装備を見れば、どの位までは持つかがある程度判断できます。
富士登山の場合は、上記の富士登山安全ガイドラインのとおり、開山時期(夏の登山)以外は「登山届けが義務化」になっております。
捜索中に下山した無謀な登山者の場合、この届けを怠っているので、本来なら罰せられるべきになります。
しかしながら、「登山届けの義務」については、罰則規定がありません。
「義務」と言うよりは「努力義務」というべき内容ですので、同じような安易な遭難救助の捜索を起こさないためにも、罰則規定を設けた方が良いのではないかと思っております。
富士山を登るのに「入山料」を徴収する動きがありますが、むしろ「登山届」を出していない登山者から罰金を取るほうが、よっぽど良いのではないかと考えてしまいます。
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直近にあった富士山の遭難事故、救助要請について
2019年2月10日にも、富士山で遭難事故・救助要請がありました。
その日、富士登山に出かけた6人パーティーがいたのですが、そのうちの2名が夜になっても下山せず、遭難騒ぎがありました。
この6人は、20代から70代からなるパーティーだったのですが、そのうちの60代と70代の男性2名が下山できなくなり、厳冬期と言う時期にもかかわらず救助の捜索が行われました。
結果、この2名は自力で富士山5合目まで下山して、事なきを得たのですが、少し間違えていれば遭難死していたかも知れません。
また、こちらの記事でも書いたのですが、今回と同じ時期になります2018年5月にも富士登山に出かけた30代の男性が滑落死した事故がありました。
上述してますとおり、富士山の山開きは、例年7月1日前後になりますので、5月は登山道も閉鎖されていて一般の方は登ることが出来ません。
山開き前の富士山5合目の登山道の様子になるのですが、写真のとおり、富士山山頂に至るルートにはバリケードで封鎖されております。
このバリケードを突破して登る訳ですので、まさに「自己責任」の世界に行く事を意味します。
今回の無謀な登山者も、バリケードで封鎖されている登山道を進んだ訳ですので、自己責任を問われても仕方のないことですよね。
まとめ
誰しも滑落や遭難なんてしたくはないと思いますが、相手が自然なだけに、中々防ぐ事のできない事故は起きてしまいますよね。
登山をしている方にとっては、ある程度「仕方がない事故」というのは分かると思いますが、装備も不十分、義務も果たしていない、捜索中に下山したのに連絡しないというのは、も~開いた口が塞がりませんよね。
遭難騒ぎや救助要請が報道されると、登山愛好家に対する世間の目は、非常に冷たいものがあります。
「なぜ?趣味で起こした事故の為に税金を使って救助しなければならないのか?」
「世間を騒がす趣味なんて趣味とは言えないから入山禁止にしなさい!」
「登山をする人間は本当に常識がない」
客観的に見ても、ま~こんな事を世間の方に言われても仕方がないと私は思っております。
非常識な登山者の行動が、「登山」というカテゴリー全体のイメージを悪化させてしまいますので、日頃から意識を高く取り組んでいる方にとっては、迷惑この上ないですよね。
最近よく言われるようになりましたが、あまりにもネットで登山情報が溢れ、誰でも簡単に登れると思えてしまう点も、無謀登山者が増えてしまった遠因なのではないかな~と私も思っております。
ブログで登山の記事で書いてますでの、私自身も注意しなければならない点でもあるのですが、今一度自分の登山スキル(体力・技術・経験)を客観的に評価して、「登れる山」、「いつか行きたい山」、「見るだけの山」に仕訳する事も重要かなと思います。
今回、6人の捜索隊の方がみな無事だったことがせめてもの救いですが、私もお世話にならないよう、十分注意しながら登山を楽しみたいと思います!
登山を始めてから2回ほど、救助のお手伝いをした事があります。
その時の救助の様子について書いた記事になります。
捜索隊の有難さを痛感した1日になりました。
冬山を楽しんでいる登山者も多いと思いますが、日頃「雪山の情報収集」に使っているサイトと装備について書いた記事になります!
今回は、富士山周辺の天候が悪くヘリコプターでの捜索は行われませんでしたが、民間で遭難者をさがすとなると非常に高額な料金が発生してしまいます。
実体験から算出した内容ですので、金額の誤差が大きいとは思いますが、何かの参考になれば幸いです。