中央アルプスで滑落死亡事故(宝剣岳・仙涯嶺)について
昨日は、3連休の中でも天気が一番良い予報だったので、多くの登山者が入山し、山頂を目指して登ったと思われます。
私もその内の一人になるのですが、地元の山に登ると、凄い登山者の数にビックリ致しました。
天気が良い予想だったものの、前日に雪が降り、気温も冷え込みましたので「凍結」が怖く、低山とは言えシッカリとした装備で臨みました。
冬山登山で一番怖いのが「滑落」になるかと思いますが、この雪や凍結がある時期にしか装備しない「アイゼン」が結構曲者になったりしますよね。
冬の時期にしか装備しないアイゼンですので、どうしても歩く感覚が変になったり、12本爪アイゼンの場合は「前刃」があるので、その刃に岩や木の根、自分の脚に引っ掛けて転倒する事があったりします。
転倒の拍子に滑落してしまうことが非常に多いのですが、昨日は中央アルプスで立て続けに滑落死亡事故が起きてしまいました。
そんな中央アルプスでほぼ同じ日に3人も滑落死亡事故がおきてしまったことに驚きを隠せないのですが、こんな事故の状況だったそうです。
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まずは、登山中に滑落し、お亡くなりになったら3名の登山者のご冥福をお祈り申し上げます。
現在、3名の滑落事故について調査中になりますが、どちらも登山道の凍結による滑落が原因になるみたいです。
宝剣岳での滑落事故につきましては、2月9日の午前中に、3人パーティーで登山していた大阪府の男性(47歳)が滑落してしまい、翌日のお昼頃に収容されてみたいですが、既にお亡くなりになっていたそうです。
宝剣岳から滑落すると、場所にもよりますが、一気に100~200mくらいは落ちてしまいますので、重大事故なりやすいと言われております。
例え滑落が致命傷にならなくとも、標高3,000m近くの高所で装備もなく一晩過ごすのは容易な事ではないでからね。
木曽駒ヶ岳周辺の最低気温から推測すると、-20度以上の冷え込みだったと思われます。
今回の滑落事故は、「凍結が原因」となっておりますが、上述してますとおり、この時期は滑り止めとしてアイゼンを装着しないと山登りは出来ません。
憶測になってしまいますが、中央アルプスの宝剣岳・仙涯嶺の標高は2,500m以上になりますので、12本爪アイゼンを装着して登山に臨んでいたはずです。
岩場の多い宝剣岳・仙涯嶺になりますので、アイゼンの前刃を引っ掛けてしまって、滑落したのかな~と思ってしまいました。
アイゼンを履いての岩登りは、それなりに技術が必要ですよね。
チョッとした足の置き方によって滑ってしまう事もありますので、岩場のアイゼン歩行は気が抜けませんよね。
登山愛好家にとっては、「中央アルプス」はあまりにも有名ですが、宝剣岳と木曽駒ヶ岳について触れたいと思います!
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宝剣岳の滑落・遭難多発箇所と木曽駒ヶ岳について
こちらが中央アルプスの象徴と呼んでも良いほど有名な「千畳敷カール」が良く見える宝剣岳周辺の地図になります。
中央アルプスというと百名山である「木曽駒ケ岳(標高2,956m)」が有名ですが、千畳敷カールが見える宝剣岳を木曽駒ヶ岳と勘違いしている方が結構多いですよね。
実は、私のお袋も勘違いしてまして、千畳敷から宝剣岳を見つめ
「流石、木曽駒ヶ岳は迫力があって素晴らしい山だ!」
と独りで感動しながら過ちを犯しておりました。
あまりにも感動しているので、誤りを指摘できず、聞き流してしまった誰かさんなのですが、千畳敷からは中央アルプス最高峰の木曽駒ヶ岳は見えません。
そんな中央アルプスの象徴として君臨しているのが宝剣岳になるのですが、標高は2,931mと、木曽駒ヶ岳よりも25m低い山になります。
しかしながら、見るからに荒々しい山容をした山の通り、宝剣岳の山頂は非常に狭く、大人1名が立てるくらいの面積しかありません。
また、宝剣岳の山頂までは、切れ立った岩場の連続で、鎖場になれていないと雪がない時期でも登るのが難しいといわれております。
※ウィキペディアより引用
写真の真ん中やや右の尖った山が宝剣山になるのですが、北アルプスの名峰槍ヶ岳になんとなく似た山容をしてますよね!
木曽駒ヶ岳につきましても、登山ルートによっては滑落の危険があるのですが、事故の多さは宝剣岳の方が格段に多いです。
無雪期でも宝剣岳での滑落事故が後を絶たないのですが、積雪期になりますと、更に難易度が上がるのはいうまでもないですよね。
季節問わず、中央アルプス宝剣岳周辺は、滑落・遭難多発箇所であると覚えておき、初めて登る際には、細心の注意が必要であると、頭の片隅に入れた方が良いですよね!
補足くすると、「登り」よりも「下り」の方が滑落するリスクが高くなりますので、山頂で気が抜けたまま登山道を下らないようにして下さいね!
仙涯嶺の滑落遭難事故について
こちらが、宝剣岳と同じように日時に滑落事故がおきてしまった中央アルプス仙涯嶺付近の地図になります。
仙涯嶺での滑落死亡事故につきましては、2月10日に登っていた西田由香里さん(44歳)の女性がお亡くなりになってしまいました。
こちらの女性は、TJARを完歩した実力者だっただけに残念でございます。
ちなみに西田さんは、TJARを完歩した歴代3人目の女性であります。
※TJARは、トランスジャパンアルプスレース(Trans Japan Alps Race)の略で、日本海富山湾から太平洋駿河湾までの約415kmをひたすら歩く日本屈指の山岳レースになります。
そんな体力・精神力共に最強レベルの女性登山者でも、滑落事故を起こしてしまうのが冬山の恐ろしさですよね。
当日は、5人パーティーで行動していたそうですが、当初、この滑落・遭難のニュースを観て???となってしまいました。
こちらの写真は、中央アルプスの名峰「百越山(こすもやま)」から撮った仙涯嶺への稜線になるのですが、山頂は右側のピークになります。
仙涯嶺までは、比較的なだらかで尾根も広い稜線なので、滑落するような場所はないんだけどな~と思ってしまいました。
しかしながら、登山はどんな場所でも事故は起きますからね~・・・。
写真左の南駒ヶ岳から仙涯嶺を目指すと、かなり切れ落ちた狭い登山道の連続になります。
情報がないので憶測になってしまいますが、もしかすると百越山から目指したのではなく、南駒ヶ岳から進んだのかもしれませんよね。
仙涯嶺周辺は、展望も開け、気持ちの良い稜線歩きが出来るの、個人的にも好きなお山なだけに、滑落死亡事故のニュースを聞くととても残念な気持ちになってしまいます。
きっと、綺麗な雪山の景色に癒されていたんだろうな~と思うと、尚更でございます。
まとめ
雪山で遭難したり、滑落事故をおこしてしまうと、登山の事を知らない方にとっては「無謀」、「税金泥棒(救助費用)」、「危ないところへ何故登る」等、色々な事を言われてしまいますよね。
普段の生活では見られない絶景が雪山にはありますので、ついつい危険と分かっていながらも登ってしまいますが、1つ間違えると重大事故に繋がってしまうリスクが非常に高い事を常に頭の片隅に入れておかないといけませんよね。
去年、中央アルプスに登ろうと何度も計画を立てたのですが、何故か相性が悪く、悪天候で全て中止となり、今年こそはと息巻いているところです。
私もニュースに載らないよう、細心の注意を払って登山を楽しみたいなと思わされた中央アルプスでの滑落事故でした。
それにしても、富士山といい、この2月の3連休は雪山事故が多かったですよね。
暖かくなってくると、雪崩や落石の事故が多くなる時期に突入しますので、色々なリスクに注意しなければなりませんよね!
中央アルプスの滑落事故と同じ日に、富士山でも2名の遭難事故が発生しております。 富士山の滑落事故と併せて加筆してますので、良かったら参考にしてみてください!
中央アルプスの百越山・仙涯嶺・南駒ヶ岳・空木岳へ無雪期に日帰り縦走した時の記事になります。 登山の参考になれば幸いです!