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山ビル生息域と分布図!丹沢の何処にいる?鹿の生息数と増加の原因

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山ビル

 

 

 

丹沢の山ビル生息地域と分布図を調べた経緯

神奈川県の丹沢山塊が私のホームグランドになるのですが、かれこれ20年以上山に入っては、白目になり泡を噴きながら登山を楽しんでおります!

 

そんな丹沢山塊には、山ビルという厄介な生き物が生息しておりまして、活動している時期は登山を避けるようにしております。

 

登山を始めた頃は、山ビルについての知識が全くなかったもので「脂っこい血だけど、お好きにどうぞ♡」と言わんばかりにモリモリ吸われてしまっておりました。

 

家に帰ると体中から流血の事態であることに気付き、中々止血されない患部を見ては、「も~死んでしまう!助けてドラえもん!」と、何度叫んだことか・・・

 

そんな山ビルとのお付き合いをしながら丹沢の山を登っているのですが、一般登山道は、ほぼ歩きつくし、ここ10年ほどは「丹沢バリエーションルート」を歩くようになり、だいぶ丹沢の山ビルの生息地域についても分かるようになりました!

 

丹沢が地元なだけに、山ビルの生息地域や活動時期について、時々お問い合わせを頂くのですが、登山をする上で、とても重要な情報の1つになると思い、自分の経験と併せて分布図について調べてみることにしました。

 

山ビルの分布図については、自分の経験や、他の登山者とのやり取りで知りえた情報と、概ね違いがなくて驚いてしまったのですが、ある程度根拠資料がないとブログの記事のネタとしては弱いのもあって調べた感じです。

 

今回は、登山者を悩ます丹沢の山ビルの生息地域と分布図について掘り下げてみたいと思います!

 

丹沢の何処にヤマビルは生息しているのか?山ビルの活動分布図について

丹沢の山ビルの生息域と活動分布図

※神奈川県より出典

 

こちらは、神奈川県のヤマビルの生息地域(活動分布図)の図になります!

 

山ビルの分布図のとおり、神奈川県の丹沢山塊の北側から東側にかけて生息していることが見て取れるかと思います。

 

生息している分布図を見ると、ヤマビルが多いと言われている丹沢の山と見事にリンクしてますよね。

 

今までの経験上、塔ノ岳、鍋割山、大山、鐘ヶ嶽、仏果山、焼山は、本当に多くのヤマビルを見たことがありますし、実際に襲われております。

 

鐘ヶ嶽、仏果山は、標高も低く、ヤマビルの生息密度が濃いので、活動している時期は周囲に近寄らないようにしております。

 

山ビルの丹沢分布図にあります「原生地」から見ますと、だいぶ生息地域が広がってしまいましたよね。

 

また、丹沢山塊の最高峰である「蛭ヶ岳」ですが、こちらの山名にも「蛭」という文字が使われていますので、何かしらヤマビルと関係があるのかな?と思ってしまいますよね!?

 

過去に、蛭ヶ岳の山名の由来について調べたことがあるのですが、諸説あるものの、一部では「ヤマビルが山頂付近に生息していた事」が、名前の由来であるという話もあったりします。

 

山ビルの原生地のど真ん中に、早戸大滝という名瀑百選に選ばれている幻の大滝があるのですが、そこまでの道中もヤマビルが凄く、何度も涙目になったことがあります。

 

それこそ、川の水面にも漂っているんじゃないか?と思ってしまうほどヤマビルの生息密度が濃かったのですが、原生地周辺は、度重なる洪水で根こそぎ流され、最近は少なくなったという話も聞いた事があります。

 

ただ、山ビルが活動している時期の丹沢最深部は、チョッと行きたいくない地域ですね~・・・。

 

また、山ビルの生息地域は、年々拡大しているのですが、何故か丹沢の西の方では、あまり見かけません。

 

なぜ、西丹沢にはヤマビルが少ないのか?については、私見になってしまうのですが、そちらについても後述したいと思います!

 

 

日本の都道府県別の山ビル生息地域と活動時期、活動時間について

山ビルの生息地域といえば、神奈川県の丹沢を始め、三重県の鈴鹿山脈などが有名ですが、実は日本で山ビルが生息していない都道府県を探がす方が難しい状況になっております。

 

少し古い情報になるのですが、私が過去に調べた限り、山ビルが生息していない都道府県は、下記14府県になります。

 

  • 北海道
  • 青森県
  • 茨城県
  • 石川県
  • 福井県
  • 大阪府
  • 岡山県
  • 島根県
  • 山口県
  • 香川県
  • 愛媛県
  • 高知県
  • 佐賀県
  • 長崎県

 

 これ以外の地域は、山ビルが生息し、被害の報告がでております。

 

近隣の県に山ビルが生息していれば、いずれ侵食される危険性がありますので、現在、確認できていなくても注意する必要があると思います。

 

特に大阪府や岡山県は、周辺の地域に山ビルが生息してますので、実は既にいるのではないかと思っております。

 

ヤマビルは、寒いところが苦手な生き物ですので、日本の中でも北海道や青森県に生息していないのは、何となく想像できたのですが、それ以上に、日本各地に生息している事に驚いてしまいました。

 

そしてヤマビルの活動時期と活発に動き回る時間帯ですが、こちらもある程度規則性があったりします。

 

まず、ヤマビルの活動時期ですが、こちらは4月~11月まで注意が必要です。

 

季節で括るのは危ないので、具体的に申しますと、気温が20度を超した辺りからヤマビルの活動が開始となります。

 

この活動が活発になる時期の温度は、経験上もその通りだと感じております。

 

ただ、山の気温は平地よりも低いので、その点は考慮する必要があります。

 

標高が1,000m上がると気温は0.6度下がりますので、その辺も頭の片隅に入れて考える必要があります。

 

丹沢登山の経験上、登山口周辺から標高1,000mまでは山ビルの危険地帯だと考えてまして、周辺の気温が20度以上になったら気をつけるようにしております。

 

また、山ビルの活動が活発な時間帯と場所ですが、こちらは天気と気温、湿度が関係してくるのですが、纏めるとこんな感じになります!

 

  • 熊と一緒で昼過ぎから早朝にかけて天気関係なく山ビルの活動が活発。
  • 晴れ、曇り(薄日)なら11時~14時位は活動が低下する。
  • 雨の日や、前日に雨が降って湿っている日は、時間関係なく活動が活発。
  • 天気関係なく獣道が近くにある場所はヤマビルの出現率が高い。
  • 天気関係なく20度を下回る場所は山ビルの出現率は低い。
  • 気温が高い夏でも標高1,500m以上の高所では山ビルの出現率は低い。
  • 湿った落葉や日陰の登山道はヤマビルの出現率が高い。
  • 日当たりのよい場所や岩の上には山ビルはいない。

 

 今までの丹沢登山の経験上の話になりますが、山ビルの活動が活発な時間帯と場所、天気、気温、湿度との関係性を知っておくと、血を吸われる確率を減らす事が出来ると思います!

 

特に湿度が高く蒸し暑い日は、山ビルに要注意になりますので、生息域に入る時は、忘れないようにして下さい!

 

全て当てはまる訳ではないかも知れませんが、結構な確率で当たっていると思いますので、参考にしていただけたら幸いです。

 

 

丹沢の鹿の生息数と山ヒルの生息域の増加との関係について

丹沢の鹿の生息数と山ヒルの生息域の増加との関係図

※神奈川県より出典

 

なぜ、丹沢は山ビルの生息域が広がってしまったかを考える時に、切っても切れないのが鹿の生息数になります。

 

上記の資料の通り、鹿の生息数と、山ヒルの生息域の拡大は、大きな関係性があります。

 

なぜかと申しますと、山ビルに吸血された状態で鹿が移動をしてしまい、新たな場所に連れて行ってしまうからです。

 

山ビルの分布が広がるのは、花の種が飛んで広がるのと原理は一緒ですよね。

 

ヤマビルの伝道師である鹿ですが、現在、丹沢山塊にどれだけの頭数が生息しているかご存知でしょうか!?

 

少し前の資料になるのですが、おおよそ3,500~5,500頭の鹿が丹沢で生息しております。

 

これほどまで丹沢に鹿が増えてしまった原因ですが、 簡単に書きますと、森林破壊に伴う植林の影響と温暖化になります。

 

丹沢山塊の植林した地域図

※神奈川県より出典

 

 こちらは、丹沢山塊の植林をした場所の図になるのですが、丹沢の最深部(蛭ヶ岳・丹沢山)以外は、ほぼ植林された森であることが分かるかと思います。

 

黄色と赤色は、昭和20年、30年代に植林された場所になるのですが、戦後の復興に伴い、木材の需要がモリモリになったのが影響しております。

 

何故、植林された森が増えると鹿まで増えるかと申しますと、エサが豊富になるからです。

 

鹿は草食動物になりますので、草が大好物になります!

 

植林された木は、まだまだ背丈が短いので、周辺の大地は日当たりが良好となり、草が生えやすい立地になります。

 

植林された木が大きくなるまでの間、周辺は草が豊富に生えるため、鹿の繁殖にもってこいの状況になってしまいます。

 

また、終戦当時は、丹沢山塊に生息する鹿の数が激減していたこともあって(乱獲等で50頭前後まで減ってしまっていた)防鹿柵も設置されず、禁猟期間などもあってモリモリ増えてしまい今に至っております。

 

 

鹿の繁殖力

※石川県白山自然保護センターより引用

 

また、鹿の繁殖力は、凄いものがありまして、群れの中で「ハーレム」形成し、羨ましい行為を繰り広げます!!

 

私も次に生まれ変わるなら「鹿」になりたいものですし、その次は「馬」となり、最後は「お馬鹿さん」になれたら良いな~と考えております(笑)

 

丁度、5月~7月まで鹿の出産シーズンになりますので、山に行けば、可愛い小鹿を見ることが出来るかも知れません。

 

そんなハーレムを形成する鹿ですが、丹沢山塊でも多く生息してまして、どんどん活動範囲が広がっております。

 

 

神奈川県のシカの分布の変化図

※神奈川県より出典

 

こちらは、神奈川県のシカの生息分布の変化図になるのですが、先ほどの山ビルの生息域の分布図と重なりますよね?

 

 

丹沢山ビルの生息域

こちらが山ビルの分布図になりますが、やはり鹿が多い所は、山ビルも一緒に移動するので活動範囲が重なっている事が分かるかと思います。

 

こちらは2007年の資料になりますが、現在は更にヤマビルの生息域が里山から市街地へ拡大してまして、大きな被害が発生しております。

 

 

鹿の密度の濃さ丹沢の生息域

※神奈川県自然環境保全センターより出典

 

そしてこちらの分布図を見ると、鹿の密度の濃さが一目瞭然ですよね。

 

やはり、東丹沢、北丹沢の鹿の密度が濃いいのが影響して、山ビルの分布も広がってしまったと見るのが正解ですよね。

 

そして鹿の行動パターンには2種類ありまして、あまり移動しない群れと、モリモリ移動する群れに分かれるそうです。

 

丹沢山塊の中央部分(蛭ヶ岳・丹沢山の北から東の地域)に鳥獣保護区(禁猟区)が設定されている関係で、その外の場所で猟が始まると、安全地帯をめがけて鹿の群れが移動するそうです。

 

その辺、鹿も賢く、このエリア(禁猟区)なら襲われないことを本能的にかぎ分けていると思われます。

 

その結果、西丹沢まで逃げる必要がなく、禁猟区が防波堤のような役割にってしまい、東丹沢に比べて山ビルが少ないのではないかと考えております。

 

また、面白いことに、丹沢の鹿は、遺伝子を調べると、南アルプスや奥秩父方面のシカとのつながりが確認されております。

 

昔は、横浜市街や三浦半島、湘南海岸にも鹿が普通に生息していたので、南アルプスや奥秩父と行き来があったのも頷けますよね。


そんなヤマビルを運んでしまう丹沢山地の鹿ですが、増えてしまったもう1つの原因として挙げられるのが温暖化になります。

 

ニホンジカは、寒さに弱く、基本、越冬できません。

 

しかしながら、暖冬少雪傾向が顕著となってきた2000年台から徐々に越冬した鹿が増え始め、自然淘汰される個体が減ったのも生息数が増えてしまった要因になっております。

 

温暖化は、ヤマビルの活動時期にも影響しますので、相乗効果で生息域が広がってしまったとも言えます。

 

ちなみにヤマビルは、寒くなると冬眠するのですが、丹沢も暖冬傾向ですので、昔は10月初めに見かけなくなっていたのが、最近では11月過ぎても活動している個体を見かけたりします。

 

丹沢の鹿の生息数が増加した原因は、温暖化と植林が主な原因であると言えますが、すべて人間が関わる話なだけに、耳が痛いというか、因果応報な感じですよね。

 

そんな事情を知っていると、ヤマビルが増えてしまっても、それは自分たちが悪いと気づかされてしまいますよね。

 

まとめ

まとめ 丹沢の山ビルの生息域の拡大が続いておりますが、我々登山者ができる事は、血を吸われてしまったら、必ず殺すことになります。

 

ヤマビルは、登山靴で踏んづけた程度では死にません。

 

一番確実なのは、ライターの火で炙り殺ろすことと、塩や薬剤を使うことになります。

 

ヤマビルの生態は、蚊と似ているのですが、人間を含む動物の血を吸うことにより、卵を生むことが出来るようになります。

 

1回の産卵で200~400個ほどの卵を産みますので、凄い繁殖力を秘めております。

 

これ以上、丹沢の山にヤマビルを増やさないためにも、吸血されない事と同時に、鹿や猪対策に力を入れる必要があります。

 

鹿や猪の餌になる残飯を山に捨てない事も対策として重要です。

 

これは、貴重な水場の環境を守る点でも有効です。

 

不謹慎ながら、新型コロナや山ビルは、山の環境を守るために神様からの試練ではないのかと思ってしまうことがあるのですが、人間の営みというのは本当に罪深いものがありますよね。

 

色々考えてしまうと、何も出来なくなってしまいますが、丹沢のヤマビルや、鹿の増加等について真剣に考え、マナーを守った行動をとりたいものですよね!

 

www.aohigetozan.com

 山ヒル対策のまとめと、ヤマビルの生態や運悪く噛まれて吸われた時の対処方法について詳細に書いた記事になります!

山ビルが生息している地域の山に登るときは、必須の知識になりますので、是非、ご確認ください!

  

www.aohigetozan.com

山ビルに噛まれてしまうとどうなるのか?について書いた記事になります。

噛まれた患部が、どのように変化するかについて観察した内容になります!

治りが悪く結構痒いので、山ビルに吸血されないように注意してください!