- 登山中に地震が起こる確率と回数について
- 関東大震災と登山中の登山のリスクについて
- 稜線、崖での地震の揺れは地上の2倍、地下の4倍について
- 登山中に地震に遭遇したら何処に逃げる?地震の対応について
- まとめ
登山中に地震が起こる確率と回数について
心配性の方なら一度は考えるのが「登山中に地震が起きたらどうしよう!?」かと思います。
登山には、数多くのリスクがありますが、その中でも比較的遭遇しやすいの登山中の地震かと思います。
いやいや、地震よりも道迷いや滑落、遭難事故の方がリスクは高いでしょう!
っと、思う方も多いかも知れませんが、私は「地震」が登山中に考えられる大きなリスクの1つであると考えております。
その根拠がこちらになります!
こちらは気象庁の震度データベースになります。
興味本位で、一年間に日本ではどれだけの地震が発生しているのか調べてみました。
結果、あまりにも地震が多く、1年間にどれだけの回数があったのか直ぐには分かりませんでした!
1,000回が上限になるので、少なくてもそれ以上の地震が発生している事を意味いたします。
それじゃ~直近1ヶ月の地震の回数は、どれくらいなのかしら?と思い調べてみると、驚きの139回になっておりました。
精度は悪くなりますが、年換算にすると、139回×12ヶ月で1,668回
これを日に換算すると、1,668回÷365日になりますので、計算すると・・・
1日に≒4.6回ほど地震が発生している計算になります!
震度1の小さな地震を含めた回数になる為、回数ほど登山中の脅威になることはありませんが、震度5弱以上の回数については、1年間に18回でしたので、だいたい月に1回程度やや大きな地震が発生している感じになります。
狭い国土であります我が国ですが、それでも震度5弱が年に18回も発生しているとなると、結構な頻繁で大きな地震に見舞われていることが分かりますが、それでも地震に慣れてしまっている関係で、全然大事になっていないのも事実ですよね!
そんな地震慣れしている日本人ですが、登山中に地震が発生しますと、地上にいるよりも大きなリスクに見舞われてしまいます。
記事の題名にも記載しましたが、地震の揺れは、山の稜線は地上の2倍に達します。
地盤が固く、山は地震に強いと思っている方も多いと思いますが、実は真逆で揺れやすくなります。
いつ起こるか分からない地震になりますが、登山中に遭遇しないとも言えません。
今回は、山は地震の影響を受けやすくよく揺れる根拠や、登山中に巨大地震が発生した時の対処の仕方やリスクについて掘り下げてみたいと思います!
関東大震災と登山中の登山のリスクについて
巨大地震と聞きますと、東日本大震災を思い出してしまいますが、神奈川県に住む私にとっては、関東大震災も忘れてはいけない大事な教訓だと思っております。
何故かと申しますと、震源地が神奈川県内(諸説あり)になりますし、地震が発生した日時と曜日が関係しております。
日本人なら一度は聞いたことのある関東大震災ですが、何曜日に発生したか直ぐに答えることが出来る方は少ないと思います。
復習も込めて記載しますが、正解は1923年9月1日土曜日の正午(11:58頃)になります。
土曜日に登山をすることが多い私にとっては、このタイミングで巨大地震に遭遇すると、かなりの確率で山の中にいる事が予想されます。
こちらは、関東大震災の震度を表す図になるのですが、かなりの広範囲で震度5以上を記録しております。
日本を代表する北アルプス、南アルプス、中央アルプスを始め、八ヶ岳、奥秩父、奥多摩、奥武蔵等、登山の人気エリアも含まれておりますので、現在に置き換えると、想像できない程の登山者が巻き込まれてしまう事を意味しますよね。
ちなみに関東大震災の死者・行方不明者は、約10万5千人に及んでまして、その内火災に よる死者が約9万2千人、建物の倒壊による圧死が約1万3千人になるそうです。
昔と今では建物の強度が全然違いますが、それでも震度7の揺れは凄まじいものがあるのは事実ですよね。
そして、関東大震災を語るうえで忘れて行けないのが強烈な余震の数々になります。
私はこの余震の多さにビックリしました。
- 9月1日 12:01 M7.2 震源地:東京湾北部
- 9月1日 12:03 M7.3 震源地:神奈川県・山梨県・静岡県境付近
- 9月1日 12:17 M6.4 震源地:伊豆大島近海
- 9月1日 12:23 M6.5 震源地:相模湾
- 9月1日 12:40 M6.5 震源地:相模湾
- 9月1日 12:47 M6.8 震源地:山梨県中・西部
- 9月1日 13:31 M6.1 震源地:静岡県東部
- 9月1日 14:22 M6.6 震源地:静岡県伊豆地方
- 9月1日 15:19 M6.3 震源地:茨城県沖
- 9月1日 16:37 M6.6 震源地:静岡県東部
- 9月2日 11:46 M7.3 震源地:千葉県南東沖
- 9月2日 18:26 M6.9 震源地:千葉県南東沖
- 9月2日 22:09 M6.5 震源地:静岡県伊豆地方
- 番外 翌年1月15日 5:50 M7.3 震源地 神奈川県西部(丹沢地震)
「関東大震災」と聞くと「巨大地震」と連想し、余震に関して聞いたことがない方も多いと思いますが、ゾッとするような巨大余震が立て続けに発生しております。
特に9月1日は、本震以降、大きな余震が10回、翌日には3回も発生しております。
想像してみてください。
土曜日の12:00頃、丹沢山塊(神奈川県)で貧乏セット(山飯)を食べていると、巨大地震が発生し、その後も立て続けに巨大余震が発生した時の自分の状況を・・・
絶望しかないですよね・・・。
本震で生き残ったとしても、余震の影響で中々下山できない事が予想されます。
また、下山したとしても、下界様子は一変していて、直ぐに家族の元へ帰れない事も考えられますよね。
確率こそ低いですが、我々はこんな地震のリスクを背負いながら登山をしているということになります。
そしてさらに厄介なのが、地震の揺れの特性になります。
稜線、崖での地震の揺れは地上の2倍、地下の4倍について
地震の揺れは、地下は小さいと聞いたことがある方も多いと思います。
これは地震学的に事実になりまして、理論的にも地下は地震に強いと言われている由縁になります。
ですので、デパ地下や地下鉄は、地上よりも揺れない分、安全であると言えるのですが、それでも停電や崩落などによって地下空間に閉じ込められてしまう危険もはらんでいますので、何とも言えない所ですよね。
そして本題であります「何故、稜線と崖は、地上よりも地震の揺れが強いのか!?」になりますが、地震工学の分野では、下記のような計算式が成り立ちます。
イメージが湧き難いかもしれませんが、横から見た空間の角度は360度に対し、平らな地表面は2次元的には180度になりますので・・・
360度÷180度=2倍の強さとなり、地下と比べて地表は、2倍の揺れの増幅率が掛かる影響で良く揺れる計算になります。
また、稜線や崖は、地形が切り立っているので、90度として計算することが出来ます。
地下空間と比べると、稜線や崖は、360度÷90度=4倍の強さになりますので、地下よりも4倍、地表よりも2倍増幅率が掛かる影響で、より強く揺れる計算となります。
少し難しいですが、地震の揺れは、地下と比べると地表は2倍、稜線や崖は4倍以上になると覚えておくと良いかと思います!
地震動の増幅による揺れの大きさの理論値につきましては、「巨大地震列島」の著者の長尾年恭様が詳しく解説してますので、興味がある方は一読下さい!
登山中に地震に遭遇したら何処に逃げる?地震の対応について
稜線や崖は、地震の揺れが大きくなるとは知らなかったのですが、実際に登山中に巨大地震に遭ってしまったら・・・について考えてみたいと思います。
特に大事なのが、登山中に地震に遭遇したら何処に逃げるべきか?や、何処から離れたら良いのか?等になります。
登山中の地震の対応について、復習も兼ねて頭の片隅に留めて頂けたらと思います!
稜線の登山道・崖から離れる
上述してます通り、稜線にある登山道や崖は、地上よりも地震の揺れが2倍になりますので、体感的にも凄い事になると思われます。
皆さんも防災訓練の一環として「起震車」に乗って地震の揺れを体感したことがあるかと思います。
震度7の揺れって、シャレになりませんよね・・・。
この揺れが稜線や崖の付近では2倍以上になる訳ですので、想像しただけでも白目になってしまいます。
そんな大きな揺れが襲う中、崖の近くを歩いていれば、バランスを崩して滑落の危険が高まりますよね。
また、大きな揺れによって、稜線が崩壊し「崖崩れ」が発生する恐れがありますので、出来るだけ稜線から離れて平地へ逃げることが重要です。
しかしながら、大きな揺れが襲う中、平地へ逃げるのも至難の業ですし、そもそも切れ立った稜線上にいる場合、安全な場所なんかない事が考えられますよね。
こればっかりは「運」の要素が高いですが、出来るだけ崖や斜面から離れるようにしたいものですよね。
山小屋・避難小屋へ避難する
登山中に大きな地震に見舞われてしまったら、困った時の駆け込み寺であります山小屋、避難小屋へ避難するのが現実的です。
山小屋でしたら、食料や水の備蓄もあるはずですし、無線や衛星電話等の設備も備えているところが多いと思います。
地上の被害の様子を知るためにも、山小屋で情報収集に努めることも大事かも知れませんよね。
また、山を熟知している山小屋スタッフの避難誘導も期待できますので、山の中で大きな地震に見舞われてしまったら、近くの山小屋へ避難することが大事だと思っております。
危ない所も熟知しているはずですので、安全に下山できる可能性が残っているかも知れません。
しかしながら、山小屋や避難小屋は、稜線上や崖の近くに建てられている事が多いですので、立地によっては斜面ごと土砂崩れによって流されてしまう危険もあります。
リスクばかり考えても仕方がないですが、稜線の地震の揺れは平地の2倍である事を十分留意して、その場が安全かどうか自分で判断する必要がありますよね!
登山者のオアシス的な存在であります山小屋について書いた記事になります。
何故、料金が高いのか?についても触れてますので、良かったら参考にしてみて下さい!
余震に備えて動かない
上述してます通り、関東大震災の場合、本震の後に大きな余震が立て続けに起きております。
東日本大震災の時も同様でしたが、大きな地震が起こると時間を置いて必ず余震が襲ってきます。
山小屋、避難小屋へ避難することも大事ですが、大きな余震が襲ってくることを頭の片隅に入れながら行動しなければなりません。
状況にもよりますが、今いる所が安全な場所であると判断できたならば、無理せずその場に留まる事も大事だと思ます。
どんな山にも、必ず起伏に富んだ難所が1つや2つはあるかと思います。
危ないルート上で余震に見舞われてしまったら元も子もないですからね~・・・。
落石が起きやすい場所や、鎖場や梯子などがルート上にある場合は、避難を思いとどまった方が良いかもしれません。
予備の食料・水・ラジオを用意しておく
大きな地震に見舞われ、その場が安全で留まる判断をしたとしても、食料や水が心許ないと、その計画は破綻してしまいます。
よく言われている事ですが、登山する場合は、予備の食料と水は少し多く用意しておくことが重要です。
私の場合、必ず水は500ml多く持参(下山しても余る)するようにしております。
水が500mlあれば、一晩山の中で過ごすことが可能です。
また、余震や落石、崖崩れのリスクを勘案しなければなりませんが、日本の山は、谷間を下ると比較的水を得やすい環境です。
衛生面を考えるとアウトドア用の小型・軽量な浄水器を装備に追加しておくと更に安心かもしれません!
普段から愛用しているアウトドア浄水器についてレビューした記事になります!
小型、軽量モデルですので、登山にも問題なく使用することが出来るのでおすすめです!
また、携帯ラジオがあれば、下界の様子を知ることが出来ますので、下山後の計画を事前に建てることが出来るかも知れません。
大地震となりますと、通信インフラが崩壊し、スマホや携帯電話では情報を入手できなくなる可能性が高いですからね。
その点、ラジオは災害に強いので、登山の装備に追加しておくと安心かもしれません。
エスケープルートを登山計画に織り込んでおく
登山計画をする上で、必ず行って欲しいのが「エスケープルートを考えておく!」になります。
私は、登山中の体調不良や怪我などの緊急事態に備えて最短で下山できるルートを複数設定してから臨んでいるのですが、大きな地震に見舞われてしまった時の下山にも有効だと思っております。
山の中では食料などの補給がままなりませんので、早い段階で下山する必要があると思っております。
関東大震災の余震の頻度からしますと、2、3日間は山の中でビバークし(出来たら山小屋か避難小屋で)、落ち着いてきたらルートを考えながら下山を目指すのが現実的かな~っと考えております。
その場合、落石の恐れが高い沢沿いルートは使わず、場合によっては、登山道を無視して広い尾根が広がるルートで下山を目指すべきかな~っと思っております。
しかしながら、エスケープルートに関しては、やはり「山域による」部分が高いですよね。
整備されている山域ならば、ある程度ルートを確保しやすいですが、登山道が少ない所は、設定自体が困難だったりしますしね。
大地震が起きて大混乱のさなか、冷静にルートを再設定するのは、かなり難しいことかもしれないな~っと思っております。
それこそ登山道が崩壊していたり、下山した場所から人里が遠かったりすると、更に困難な道のりになりそうですよね~
色々考えると、エスケープルートを設定していても、予定通りには絶対行かないですよね~・・・。
いや~・・・山深い山域で大地震には遭いたくないものですよね・・・。
エスケープルートを始め、登山計画の立て方について書いた記事になります!
安全な登山の為にも、計画は重要ですよね!
まとめ
改めて登山中に地震があったらと考えると、白目にしかなりませんよね~・・・。
対策について考えてみたものの、どれも「これだ!」と言うものがなく、基本「運しだい」な所が悩ましいですよね。
関東大震災の事例から考えると、登山中にM8クラスの地震が襲ってくると、現実的には絶望しかないかも知れませんよね。
下界の大混乱から想像すると、山の中の登山者の救助は、相当後回しになってしまいますよね。
ちなみに関東大震災の余震であります「丹沢地震」は、 死者19名、負傷者638名を出すほどの大惨事になりまして、名前の通り、丹沢山塊は大きなダメージを受けた地震になります。
丹沢山塊の被害については、「丹沢今昔」と言う書籍で詳しく書かれているので、興味がある方は読んでみて下さい!
また、関東大震災の教訓としてあるのが、地震が起こる3ヶ月前から茨城県東方沖で群発地震が起きております。
地震の回数で200~300回と、かなりの数の群発地震が発生し、結果的にはそれが前兆現象であった感じになります。
個人的な見解ですが、茨城県沖で群発地震が起きた場合、少し気を付けたほうが良さそうだなと考えております。
大地震が来ると騒がれている今日この頃ですが、どんな時でも油断せずに、その時を迎えられるようにしたいものですよね!
おすすめの防災グッズについて纏めた記事になります!
備えあれば患いなしですので、防災の参考になれば幸いです!